Bizクリニック

テレワーク時代の「面談」の時間術

 「会議」の次に時間生産性向上の阻害要因になりやすいのは、上司と部下の「面談」だ。ここ数年は米シリコンバレー発で、定期的に上司と部下が1対1の面談を行う「1on1ミーティング」が注目され、日本の成長企業も続々と採用している。筆者が勤めたリクルートでも古くから「よもやま」や「レボ」と呼ばれる面談が行われてきた。リクルートが他社に先駆けて導入したこの「面談」と「360度評価」が、職場内でのコーチングとフィードバックという文化を醸成し、リクルートの個と組織の成長を支えてきた。(プレゼンス社長・田路和也)

 面談は部下の成長を促し、組織の成長を加速させるための場だ。ところが、その貴重な面談を、部下を管理するための場と捉えてしまっている管理職は多い。筆者が講師を務める管理職研修の受講者も、組織の課題解決策として「部下との定例面談の実施」を行動計画に入れようとする傾向がある。しかし、その「やり方」を間違うと、むしろマイナスに作用するもろ刃の剣であることを管理職はまず認識する必要がある。管理職にとって有意義でも、部下は仕事が増えただけのように感じるかもしれない。

 面談を部下の成長の場と捉えることさえできれば、やるべきことは明確だ。まず、事前に面談の目的・ゴールを部下と共有しておく。定例面談ならば、面談終了時に必ず次回の面談の目的・ゴールを確認する。

 面談中に時間が割かれがちな報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の中で、クラウドを活用することで解決できそうなことは、都度反映させていくことも必須のタスクだ。新人A君からの質問や相談に対する回答は、新人Bさんにも有益な情報である可能性が高いし、今後の新入社員にとっても同様だろう。

 管理職が部下一人一人に対応しているようでは、組織の時間生産性はいつまでたっても高まらない。作業のマニュアル化や、よくある質問とその回答であるFAQのクラウド共有化などは、各チームでリーダーを決め、全員で共有・更新し続けることを社内ルールとすべきだろう。

 また、部下からの相談に対して、答えを与えてしまうのではなく、「お前はどうしたいんだ」と問いかけるコーチング的アプローチが重要だ。魚を釣って与えるのではなく、魚の釣り方を教えて自立させる管理職の役割を遂行する上で、まずは部下に当事者意識を持たせ、自分で考える習慣を身に付けさせる。この上司と部下の真剣勝負だけが、お互いの能力を高め合う場をつくり出すのだ。

【プロフィル】田路和也 とうじ・かずや 早大商卒。1998年パソナ入社、2000年人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)入社、07年プレゼンスを設立し現職。14年アポロ広告社と合併。営業部門の時間生産性向上に特化した研修・コンサルティングを提供。著書に『仕事ができる人の最高の時間術』(明日香出版社)、『HRプロファイリング』(日本経済新聞出版)がある。46歳。兵庫県出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus