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松山、優勝は「あまり怒らずできた」 セルフコントロールでメジャー制覇導く

 最後の18番、2メートルのパーパットを外し、返しのパットを入れた瞬間、松山英樹(29)は帽子をとって、拍手を送るパトロンたちに笑みを見せた。そして専属キャディーと抱き合い、左手を挙げてうれしさを表した。勝ちたかったマスターズの夢を現実にした。(【日本選手初】マスターズゴルフ、松山英樹がメジャー制覇)

 米ジョージア州のオーガスタ・ナショナルGCで開かれた男子ゴルフのメジャー、マスターズ・トーナメントで、2位に4打差11アンダーの首位で最終ラウンドをスタートした松山は4バーディー、5ボギーの73で回り、通算10アンダーの278で優勝し、日本選手初のメジャー制覇をマスターズで達成した。

 3日目を首位で終えた時点で松山は「あまり怒らずできた。最終日はそういうことがすごく大事になってくる」と話していた。その通り、トラブルショットを放っても冷静に、バーディーを奪えばキャディーと笑顔でフェアウエーを歩くなど、追われる身でも精神的に崩れることはなかった。怒ってクラブを放り投げるシーンも皆無だった。

 出だしの1番でボギーをたたいて不安をのぞかせたが、すぐ2番のロングホールで取り返し、普段の気持ちに戻った。8、9番でもバーディーを奪った。

 数々のドラマを生んだ“サンデー・バックナイン”に入り、最大のピンチは15番のロングホール。第2打はグリーンをはるかにオーバー、16番の池に入れてしまった。何とかボギーで切り抜けたが、2位との差は2まで縮まった。最終18番、第2打をバンカーに入れヒヤリとしたが、ボギーにとどめて1打差で逃げ切った。

 「きょうは朝から緊張しっぱなしだった。でも本当にいいプレーを見せられて良かった。これから日本選手も変わっていくと思う。僕も勝っていきたい」。プレッシャーの中で勝ったことは意味がある。

 ラウンドの途中で感情を爆発させることが目立った松山が変わったのは、バックアップ体制の確立も大きい。専属キャディーや新任のコーチ、トレーナーの増強、クラブなどギアの調整など“チーム松山”の存在があった。ゴルフに集中するだけでよくなったのだ。

 表彰式で昨年のチャンピオン、ダスティン・ジョンソン(米国)からグリーンジャケットを着せてもらって袖を通した松山は両手を挙げて偉業を実感した。優勝者として今後の出場権を得た。「サンキュー」の大きな声がオーガスタに響き渡った。

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