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引退を決断した経営者「M&Aから検討すべき? 事業承継から考えるべき?」 (1/2ページ)

葛谷篤志
葛谷篤志

 数多くの経営者と会話する中で、よく「M&Aから考えれば良いですか? 事業承継から考えれば良いですか?」という質問をいただきます。私はいつも「事業承継の中の手法の一つとして、M&Aという手法があります」と回答します。

 「親族間」「社内(従業員)」以外の事業承継を第三者承継といい、M&A(合併・買収)と同義として扱われます。第6回は、経営者の悩みにあわせて、事業承継を考える上での手順について解説していきたいと思います。

中長期の経営計画と年齢を照らし合わせる

 ミドルシニア(45歳以上65歳未満)の経営者になると、“会社の引き継ぎとしてのM&A”といったお誘いなどが増えてくると思います。実際に、中小企業庁が今年3月にまとめた資料「中小M&Aの意義」も経営者の高齢化を課題として捉えています。

 業種・業態もさまざまな中小企業において、「M&A(第三者承継)が必然か」と問われるとそうでもないでしょう。

 まず、会社の中長期の経営計画とご自身の年齢を照らし合わせることをお勧めします。その中で、下記の3つの変化を考えた時に、経営として今後どのように事業承継を考えるかが重要になります。

  • お客様、消費者の行動の変化
  • サービスの活用方法の変化
  • 自社の組織、スタッフの変化

ハッピーリタイアを考える

 中小企業庁は前述の「中小M&Aの意義」において、M&Aの効果のひとつに「ハッピーリタイアメントと再チャレンジ」を挙げています。

 ハッピーリタイア(ハッピーリタイアメント)とは、豊かな老後資金を確保して悠々自適の引退生活に入ることをいいます。具体的にどのようなものを指すか、中小企業の経営者にとってのハッピーリタイアに的を絞ると、以下の2つで構成されます。

  • ①金銭的自由がある状態
  • ②経営者として精神的に安定した状態

①金銭的自由がある状態

 退職金(役員退職慰労金)などで、会社を引き継いだ後の生活を安定させている状態。特に金融機関などから借り入れがなければ、社長・役員を退任した後の生活が安定している状態を指します。

②経営者として精神的に安定した状態

 安心して経営者が後継者に自身が築き上げた企業を任せられている状態。信頼における、人物を後継者として招き入れた上で、社員・事業を譲り渡せている状態を指します。

 ハッピーリタイアを考えるにあたり、上記2つの観点で、経営者はご自身の年齢と照らし合わせて、経営を退くタイミングを考えなければならないのです。

ハッピーリタイアを考える上での課題点

 ここで問題となってくるのが、経営における金融機関などの借り入れ状況と後継者不在です。

▼金融機関などからの借り入れ

 金融機関などに借り入れがある場合、どうしても経営の引き継ぎがしづらい状態になり、長期的に返済を考えることになります。ただし、長い期間となると、社長の健康面や、市場がどのように変化するかわからないことがあります。その場合、現在の会社の経営において一度M&Aを検討しても良いかもしれません。

 現段階で借り入れがあったとしても、事業によっては、ポジショニング(立地・サービス・顧客ソース)などによって魅力的に判断してくれる企業が存在する可能性もあります。

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