社会・その他

道交法改正から1年 東名あおり事故遺族「安全運転を」

 あおり運転の厳罰化などを盛り込んだ改正道交法が施行されて6月30日で1年。法改正のきっかけの一つとなったのが平成29年6月、神奈川県の東名高速道路であおり運転を発端に一家4人が死傷した事故だ。被害者の母、萩山文子さん(81)は、事故後からあおり運転の危険性を訴え続け、厳罰化実現への道筋を作った。それでも「まだあおり運転をする人はいる」と、すべてのドライバーの意識改革を願っている。(根本和哉)

 「もう4年になるの。事故のことは忘れたくても忘れられない」。文子さんは事故で亡くなった息子、嘉久(よしひさ)さん=当時(45)=一家の写真を眺めながらつぶやいた。

 事故が起きたのは29年6月5日夜。嘉久さん一家4人が乗った乗用車は高速道路上で、別の乗用車に執拗(しつよう)な割り込みや急な車線変更などを受け、停車させられた。直後に後続のトラックに追突され、嘉久さんと妻の友香(ゆか)さん=当時(39)=が命を落とし、子供2人もけがを負った。

 3人兄弟の末っ子だった嘉久さんは「仕事が好きで優しい子。車の運転も好きで、よく乗せてもらった」。結婚後も実家近くに住み、友香さんとよく訪ねてきてくれた。

 最愛の息子に起きた悲劇。これ以上の犠牲者が出てほしくないとの思いから、報道機関の取材に応じ、法律の改正や厳罰化を訴え続けてきた。そして昨年、法改正が実現。あおり運転の適用は拡大され、厳罰化された。

 危険運転致死傷などの罪で起訴された被告の男の裁判はまだ続いている。当時は車が停止状態だった場合、危険運転致死傷罪の適用ができず、男を同罪に問えるかの見解は分かれ、裁判は長期化している。

 文子さんは被害者参加制度を利用して公判を傍聴してきたが、体調の悪化もあり、気軽に外出することが難しくなった。「生きているうちに終わってほしい」と、心は休まらない。

 事故から4年、法改正から1年。厳罰化以降もあおり運転による事故は後を絶たない。「ハンドルを持つと気が大きくなってしまうのかもしれない。危ない運転は本当にしないでほしい」と、運転時の意識改革が必要だと訴える。

 「大切なのは一人一人に、意識して安全に運転してもらうこと」。ハンドルを握る人それぞれが安全運転の自覚を持てば、もう息子のような犠牲者は出ないはずだと信じている。

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