社会・その他

広島高裁、「黒い雨」援護区域外も被爆者認定 1審地裁判決に続き

 広島への原爆投下後に降った「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたのに、国が定める援護対象区域外にいたことを理由に援護を受けられないのは違法として、広島県内の84人(死亡者含む)が、広島県や広島市に被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟の控訴審判決が14日、広島高裁であった。西井和徒裁判長は、原告全員を「被爆者」と認めた1審広島地裁判決を支持。被告側の控訴を棄却し、手帳の交付を命じた。

 原告は原爆投下当時、生後4カ月~21歳だった男女84人の本人やその遺族。原告らは、援護対象区域の外で放射性物質を含む黒い雨を浴び、その後、がんなどの病気を発症したため、被爆者と認められるべきだと主張。広島高裁は、たとえ原告らがそうした病気の発症していなくても、被爆者と認めるべきと判断した。

 判決理由で西井裁判長は1審に続き、黒い雨が降った範囲は、国が定めた援護対象区域よりも広いと認定。その上で、放射能に汚染された水や食べ物を摂取したため内部被曝(ひばく)した可能性のある住民について、放射線量の推定が困難だとしても「原爆の放射能により健康被害が生じることが否定できない」と指摘した。

 住民の証言や聞き取り調査などを踏まえた上で、援護対象区域外でも黒い雨が降った可能性があり、原告全員が被害を受けたと認定。援護法上の被爆者(3号被爆者)に該当するとした。

 1審判決後、援護対象区域拡大を求める県と市の要望を受け、国は降雨地域や健康影響などを検証する検討会を設けた。今回の司法判断は、検証結果にも影響を与えるとみられる。

 判決後の記者会見で原告団長の高野正明さん(83)は「訴えが認められてうれしく思う。われわれも高齢であり、行政が上告しないことを望む」と話した。

 黒い雨 原爆投下後に爆心地や周辺で降った、放射性物質やすすなどを含む雨。旧厚生省は昭和51年、投下直後の調査を基に、大雨が降ったとされる爆心地から北西の楕(だ)円(えん)形の地域(南北約19キロ、東西約11キロ)を「援護対象区域」に指定した。区域内で黒い雨を浴びた人は被爆者と同様に無料の健康診断を受けられ、一定の疾患がある場合は被爆者健康手帳が広島県・市から交付されているが、この区域から外れた人には手帳の交付などが認められてこなかった。

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