社会・その他

家族の休日は一転して悪夢に…床抜けた立体迷路に「黒く腐った木」

 行楽日和の家族の休日は一転して悪夢となった。兵庫県加東市の遊園地「東条湖おもちゃ王国」で今月10日、立体迷路施設の床の一部が抜けて客7人が転落し、子供を含む6人が負傷した事故。新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が解除されて間もない週末とあって、園内は多くの家族連れでにぎわっていた。響き渡る子供の声、首を血で真っ赤に染めた女性…。思いもよらぬ惨劇に見舞われた負傷者らが取材に応じ、恐怖を振り返った。

 事故が起きたのは10日午後2時過ぎ。快晴のこの日、大阪府東大阪市の大工の男性(27)は妻と3人の子供、友人の家族3人の計8人で園を訪れていた。

 久々のお出かけ。立体迷路施設「カラクリ迷宮のお城」(木造5階建て)に入り、はしゃぐ子供たちが駆け出すのを目で追いながら後ろをついていった。

 突然、何の前触れもなく床が崩落。気づいたときには2階に転げ落ちていた。「3階から2階にそのまま床ごと落ちていった。最初は何が起こったか分からなかった」と男性。薄暗い建物内には子供の鳴き声とともに、「痛い」「動かれへん」という叫び声が響いていた。

 幸い3人の子供たちは難を免れたが、近くには首が血で赤く染まった妻が倒れていた。「動くと痛い。息をするのもしんどい」。そう訴える妻を抱きかかえ、安全な場所へ運び救急隊に搬送を託した。

 原因は施設の老朽化か、行政の目も届かず

 「すのこのようになっていて下が見える状態。『落ちたら怖いな』と冗談で言っていた」

 そう振り返るのは、同じく転落し、負傷した同市のパート従業員の女性(27)。転落後に夫のうめき声を聞き、われに返った。

 夫は抱きかかえていた1歳の娘をかばうように転落したため、受け身を取ることすらできなかった。後に腰の骨を折るなどの重傷と判明したが、娘が無傷だったのが不幸中の幸いだった。

 業務上過失傷害の疑いで捜査している兵庫県警は、床板を支える木製のはりが腐食し、折れたことが事故につながったとの見方を強めている。

 大工として数多くの現場を見てきた男性も、同じ見方だ。「原因は建物の老朽化ではないか。折れた木は黒く腐っていたし、木の折れ方も新築の家で使う木のそれではなく、家を解体するときに見るような折れ方だった」と指摘する。

 迷路施設は平成25年4月にオープン。建築基準法は建物や工作物について、同法の規定を満たすかどうかの確認申請を求めており、園でもジェットコースターや観覧車などのアトラクションは「準用工作物」として、県に建築確認を申請していた。

 ただ、立体迷路は屋根や可動のための動力がないため同法の適用対象外となっており、行政に立ち入り調査などの権限はない。県の担当者は「園と施工したメーカーに管理を任せていた」といい、こうした事情がずさんな管理体制を招いた可能性もある。

 園側の過失は…兵庫県警が捜査

 事故の発生原因とともに今後の焦点となるのは、園側が迷路施設の危険性をどのように認識していたか、また、利用者の安全のためにどのような点検をしていたかだ。

 園はボルトの緩みや床にひずみがないかなどのチェック項目があり、従業員が確認して日報に記録していた、とする。ただ、これらの点検の大部分は目視のみで、夜間は電灯がなく暗い部分が目立つ施設内を、時にはペンライトの明かりを頼りに見回るだけだったという。

 負傷した女性は「屋根のない建物で雨も降り木も傷みやすいはず。それを分かっていた上で目視だけ、というのはどうなのか。しっかりと原因を究明してほしい」と訴えている。

 県警は21日に業務上過失傷害の疑いで園を家宅捜索。過去には、他の遊園地にある同種の迷路施設で同じような事故が起きており、担当者らから事情を聴くなどして過失を問えるか見極める構えだ。(鈴木源也、木津悠介、藤木祥平)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus