【マック&ユニクロ流人財育成】会社をぐんぐん成長させる秘訣 「スーパー店長心得」

2019.3.26 07:00

 【マック&ユニクロ流人財育成】

 店舗運営とは、会社経営そのものです。

 規模は違えど経営者と同じ立場であり、経営者と同じ視点で物事を判断することが求められます。

 経営者意識のある店長を育てることができれば、店舗数を増やすことができ、会社全体も成長することができるのです。

 私はマクドナルドやユニクロ、さらにその後の勤め先を通じて、多くの店長と出会ってきました。

 中でも、ユニクロの「スーパースター店長」(※「店長」「スター店長」より上位の役職)といわれる方たちは別格でした。

 彼らはお客様第一の思考を持っており、お客様に迷惑をかける可能性がある事は会社に対して意見を申し立てていました。経営に口を挟んでいたわけです。これは、彼らに強い経営者意識があったからこそできていたことでしょう。

 マニュアルを越えよ

 優秀な店長には共通する特徴があります。

 それは、次に挙げる4点です。

(1)顧客満足にこだわる

 顧客満足へのこだわりは、商売人としては当たり前のことです。

 ただ、お客様に対する意識の差で、レベルの差が出てしまうのです。

 顧客満足にこだわるということは、常にお客様の立場から優先順位を決める、ということです。

 店長が顧客満足を追求するうえで欠かせないものの一つがマニュアルです。マニュアルにはそのお店で働く人が最低限守らなければならないルールが示されています。

 優秀な店長はスタッフにマニュアルを熟知させ、100%実行させるだけでなく、マニュアルを超えたサービスの提供を促します。なぜならお客様の期待は常にマニュアルを超えたところにあるからです。特に接客のレベルが非常に高い日本では、お客様の期待レベルは限りなく高くなっているのです。

 潜在的なニーズにアンテナを張り、積極的に応えることで初めて「顧客満足にこだわっている」と言えるのではないでしょうか。

 愛情あってこその厳しさ

(2)数字に強い

 会社の業種や評価はすべて数字で表されます。

 当然、働く全ての人が数字に強い事が一番ですし、その中でも経営者や店長は特に強くなければなりません。

 数字に強くなると、さまざまなコントロールが楽しくなります。

 仮説を立てて実行し、成果が出た時の快感はたまらないものです。気をつけなければならないのは、その楽しさにとらわれることです。

 数字を改善することに夢中になり、ホスピタリティーや店舗スタッフとのコミュニケーションが失われることもあります。

(3)人間力がある

 率先垂範、優しさ、厳しさ。

 これらは人間力の原点だと思います。

 スタッフを育てるには、愛情を持たなければなりません。指摘は厳しくても、育てたいという思いが伝われば、スタッフはついてきてくれます。

 日本マクドナルドの創業者の藤田田氏も、ユニクロの柳井正ファーストリテイリング会長兼社長も、非常に厳しい方でした。

 しかし、人情が厚く、社員に対する愛情を感じていました。柳井氏は「鬼になり、仏になれ」と言い続けていましたが、店長に求められる人間力を表現している言葉だと思います。

 ロジカルシンキングが使える

(4)目標管理が得意

 優秀な店長は、目標達成に対して貪欲です。

 あきらめず、手法を変えて最終的に目標を達成するのです。

 目標達成を行うために必要なのが、ロジカルシンキングです。

 何をすべきか、準備物は何か、を分析して行動に落とし込み、優先順位に基づいて実行していきます。

 目標管理が得意な店長は、ロジカルシンキングを身につけています。

 大きな目標を具体的な行動計画に落とし込み、スタッフ一人一人が目標に向かうことができているのかを確認しています。

 ここで目標達成ができない場合は、行動計画を論理的に考えることができていないからでしょう。

 顧客満足と数字に強いという点は、成果に関わるポイントです。

 人間力と目標管理は、目標達成のために必要なポイントです。

 顧客満足・数字を追及するためには、人間力と目標管理が必要です。これらのバランスが取れている人が、スーパー店長と呼ばれる人だと思います。

 店長とはお店の経営を任されている経営者の一人であり、重要な役割を担っています。

 私自身も店長時代の経験はその後のキャリアにとって何一つ無駄なことはありませんでしたし、かけがえのない財産だと感じています。

 ぜひ4つの項目を意識し、スーパー店長を目指してください。

有本均(ありもと・ひとし)

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株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパン社長

1956年、愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部入学後、大学1年からマクドナルドでアルバイトを始め、1979年、日本マクドナルド株式会社に入社。店長、スーパーバイザー、統括マネージャーを歴任後、マクドナルドの教育責任者である「ハンバーガー大学」の学長に就任。2003年、株式会社ファーストリテイリングの柳井社長(当時)に招かれ、ユニクロの教育責任者である「ユニクロ大学」の部長に就任。その後、株式会社バーガーキング・ジャパンの代表取締役など、外食・サービス業の代表、役員を歴任する。2012年、ホスピタリティ&グローイング・ジャパンを設立。マクドナルド、ユニクロ等を経験して得た「人財育成のノウハウ」を活かし、世界中のサービス業の発展を目指す。著書に「どんな人でも一流に育つしくみ」。

【マック&ユニクロ流人財育成】は有本均さんが人を上手に育て会社を成長させる人材育成のノウハウを伝える連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。

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