五輪マラソン暑さ対策、MGCで検証 かち割り氷など配布

2019.9.15 22:03

 2020年東京五輪・パラリンピックに向け、都や大会組織委員会は15日、マラソン大会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」で、五輪本番を想定した「暑さ対策」の検証を行った。給水所に新たに置いた氷を選手たちが使う姿がみられるなど、組織委は一定の手応えを実感。今回の検証を踏まえ、五輪を見据えた対策をさらに充実させる。

 今大会では、コースの給水所を増設したほか、選手が走りながら体を冷やせるようポリ袋に砕いた氷を詰めた「かち割り氷」を用意。レース前半から選手たちが氷をつかんで体を冷やす場面も頻繁にみられ、組織委の担当者は「かなり有効という感触はある」と、手応えを感じた様子だった。ゴールには、熱射病の症状が見られる選手に活用するための氷入り水風呂が設置されたが、利用した選手はいなかった。

 沿道の観戦者の暑さ対策も実施された。混雑が予想される芝公園(港区)と行幸通り(千代田区)、共立女子大(同)の3カ所で、計2千個の冷却グッズを用意。かち割り氷や手持ちの扇風機、紙製のサンバイザー、首元を冷やす「ネッククーラー」などが無料で配布されたほか、冷房が効いたテントやミストシャワーなども設置された。

 芝公園近くでは、午前9時ごろから多くの人が沿道に詰めかけ、厳しい暑さをしのごうと、涼を求めて配布されたグッズに手を伸ばした。大田区から家族で観戦に訪れた福地葉子さん(53)は、ネッククーラーを体験。「沿道は日陰もないし暑いので、冷たくて気持ちいい。本番はもっと暑くなるかもしれないので、観戦する側も自分で対策しないといけない」と話した。

 小池百合子知事は、芝公園で暑さ対策を視察。冷却グッズを試すなどして効果を確かめ、「いかにして太陽の日差しを遮るかが大きなポイント。五輪まであと1年を切っている。数値を分析して、ベストな暑さ対策を進めていく」と強調した。

 レース後、組織委の担当者は「選手の意見などを踏まえて、継続して暑さ対策について議論していく」と力を込めた。

閉じる