タダノ、京大と自動化クレーン開発へ ロボやAI活用、運転者不足対策探る

共同研究契約を結んだタダノの多田野宏一社長(左)と京都大学の山極寿一総長=東京都千代田区
共同研究契約を結んだタダノの多田野宏一社長(左)と京都大学の山極寿一総長=東京都千代田区【拡大】

 建設機械大手のタダノは、京都大学と包括連携共同研究契約を締結し、最新のICT技術を取り入れた自動化クレーンの開発に乗り出す。タダノのものづくりに関する技術と、京大の持つ機械工学や社会工学、都市工学、情報科学などの最先端の学術的知見とを組み合わせ、人の技量に左右されない安全なクレーンの開発に挑む。

 タダノは、これまで個別の研究室レベルとの共同研究実績がある。同社の多田野宏一社長は東京都内での記者会見で、自動化クレーン開発に当たっては「より幅広い知見が必要」と語り、文理問わず多く分野の学部や研究室を豊富に持つ京大との共同研究契約を決めた。

 一方、京大の山極寿一総長も「連携で生まれる新たな技術を世に送り出し、新たなイノベーションの創出につなげたい」と期待を寄せた。

 具体的な開発時期などは決めていないが、ロボットや人工知能(AI)といった最新技術を活用し、カメラやセンサーなどを活用しながら、自動で荷物の形状や重さを認識して、つり上げるクレーンを開発する。多田野社長は「最終的には完全自動運転が理想」と開発目標を設定。自動化クレーン実現に向けての技術課題の設定などについて来月から京大と協議に入る。

 日本では少子高齢化で生産人口の減少が進んでおり、2015年の建設業への就業者数も1995年比で40%減っている。特にクレーンを操作するオペレーター(建設機械運転者)は50%減で、高所で長時間危険な作業に当たるケースが多く、なり手が少ないとされる。また、熟練運転者になるまでに少なくとも5~10年かかり、「このままではクレーンを製造しても、使ってもらえる人がいない」(タダノの多田野有司執行役員)状況になりかねず、今よりも簡便な操作ができるクレーン開発が求められている。

 タダノは1919年に溶接業として創業。55年には日本で初めて油圧式クレーンを世に送り出した。約200年にわたって倒されていたチリ領イースター島のモアイ像修復にも同社のクレーンが活躍した。