【ベンチャー支援の現場から】特許庁、専門家を顧問として派遣

支援先に選ばれた10社の代表者ら。専門家チームが各社の知財戦略を支援する=東京都千代田区
支援先に選ばれた10社の代表者ら。専門家チームが各社の知財戦略を支援する=東京都千代田区【拡大】

 ■知財分野でスタートアップ支援

 特許庁は、スタートアップベンチャーを対象とした初の支援事業を開始した。革新的な技術やアイデアを基に創業する企業に対し、知財戦略を軸とした複数分野の専門家を含む顧問を一定期間派遣し、各社に最適な事業戦略を構築することで成長を促す。初年度の募集には全国から59社が応募し、書類審査、プレゼンテーションを経て、宇宙、再生医療、量子コンピューター、素材、通信など多様な業種の10社を選出した。

 選定された企業に対しては、コンサルタントやアクセラレーターなどのほか、弁理士、弁護士といった知財の専門家がチームを結成して知財戦略構築の支援にあたる。派遣期間は来年2月ごろまでを予定している。

 採択企業となった超小型人工衛星の設計開発を手掛けるアクセルスペース(東京都中央区)は、衛星画像を活用したデータ解析サービスを第2の事業の柱として成長させていく方針だ。中村友哉社長は「データの権利関係といった知財面で支援してもらいたい」と期待を込める。

 高品質・省電力の無線センサーネットワークを開発しているソナス(同渋谷区)の大原壮太郎最高経営責任者(CEO)は「日本発の規格として世界で標準化したい。そのためにビジネスの視点での特許戦略について相談したい」と話した。

 法人向け不正アクセス検知クラウドサービスのカウリス(同千代田区)の島津敦好CEOは「外資系に競合が多く、関連した特許についての調査を手助けしてほしい」と語った。

 特許庁総務部企画調査課の松本要課長補佐は「これまで中小・ベンチャーというくくりで支援してきたが、スタートアップ企業へのサポートが不十分だった。各社の知財戦略を確立して成長を加速させたい」と後押しに意欲を示している。

 このほか採択された企業は次の通り。カッコ内は、本社所在地、事業内容。

 アセルナテクノロジーズ(京都市左京区、再生医療・創薬支援)▽MDR(東京都文京区、量子コンピューター開発)▽kyulux(キューラックス、福岡市西区、次世代有機EL開発)▽Jiksak Bioengineering(ジクサク・バイオエンジニアリング、川崎市幸区、ALS創薬関連技術開発)▽DeepFlow(ディープフロー、東京都豊島区、スーパーコンピューター用クラウドシステム開発)▽ナノルクス(茨城県つくば市、暗視カメラ開発)▽メトセラ(山形県鶴岡市、心臓疾患の再生医療製品開発)。