□石井健太郎会長
■ちゃんこスープ生んだ大鵬関との交流
--創業当時の状況は
「創業期は戦後の食糧難の時代だった。千葉県の船橋沖で取れた海産物のつくだ煮を作って販売した。当時つくだ煮は量り売りが主流だったが、小袋に入れて販売したところ農繁期にものすごく売れるようになった」
--昭和30年代、大鵬関との出会いがあった
「大鵬関は、私と同世代で10代のころ船橋市の病院に入院した。おなかをすかせて工場の食堂に来て食事をするようになり、家族や従業員と親しくなった。きさくな人柄で、横綱になってからも交流が続いた。大鵬親方は食にこだわった。ちゃんこは鶏ガラスープに、鶏肉とたっぷりの野菜。キャベツの芯も鍋に入れる。無駄がなく、おいしい。この縁が『大鵬直伝ちゃんこ鍋スープ』の開発につながった」
--米国に留学した
「カリフォルニア大学で食品加工などを学び、米国の食文化を体験した。帰国後、商品開発に役立った」
--人気商品のミートボール開発に携わった
「米国でミートボール製造機を購入。弁当のおかずとして売り出した。母親層を中心に支持された。スーパーでばんばん売れるようになった。箱根の山を越えて、関西に乗り込み、市場を開拓していった」
--食品添加物を使用しない決断を下した
「人工甘味料、保存料、着色料は不自然だ。人間によくない。使用しないと決意して、徐々に進めていった。また、全商品に番号を印刷して、素材の履歴を分かるようにした」
--社員が幸せそうに働いている印象がある
「『人がいい会社だね』とよくいわれる。職場環境には気を配っている。上司は肩書でなく、さん付けで呼ぶ。その日、もうけるだけではだめ。仕事を自分の成長につなげていくことが大切だ」
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【プロフィル】石井健太郎
いしい・けんたろう 米カリフォルニア大卒。1966年石井食品に入社。弁当のおかずとして好評のミートボールなどの開発・販売に携わる。88年社長、2008年から会長。78歳。千葉県出身。
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≪イチ押し!≫
■国産鶏肉と専用パン粉で「定番」の味
「ミートボール」は石井食品の大ヒット商品。弁当の定番として人気が高い。
商品価値創造部の関口和成氏(48)は「鶏肉は岩手、佐賀、宮崎県などの国産。タマネギは北海道や千葉、茨城県産など旬のものを使用。パリっとした食感を大切にしている」と説明する。
パン粉は石井食品専用。トマト風味のソースで仕上げており、ご飯が進む。野菜炒めやパスタにのせてもおいしい。子供たちが大好きな味だ。
関口氏は「私もミートボールを食べて育った。弁当の蓋を開けたときに丸いミートボールがあると、うれしかった」と笑顔で振り返る。
人工甘味料などは使用していない。関口さんは「素材のおいしさをお客さまに届ける。この味を後世に伝えていきたい」と意気込む。販売価格129円。