論風

世界でキャッシュレス化が加速 薄れる銀行の存在感 (1/3ページ)

 先日、米国で開かれた会議の席上発表された、ボストン周辺の若者の生活パターンを聞いた中で、やや衝撃的だったのは、若者の3分の2強は「生まれてからこれまで銀行の店舗に足を踏み入れたこともなく、かつ今後を展望しても、店舗には行かないだろう」と答えたということだった。(国際通貨研究所理事長・渡辺博史)

 もちろん、カード決済や日本ではあまり見られない小切手決済が中心の米国で彼らが物理的に店舗に赴かないことはさほど意外ではなかったが、これらの2種の決済手法では銀行に口座を持つことが前提になっていた。

 中国でも、空港から市内へのタクシー利用で、人民元紙幣で払おうとしても、「アプリでしか代金は受け取れません」と言われ往生した人も多いが、この例でもアプリ決済は中国国内の銀行口座の保有をベースにしている。

 口座介さず決済

 しかし、近時ケニアなどで行われているアプリ決済は、銀行口座を介さないものとなっている。比喩が妥当かどうか分からないが、「ネットワーク化されたプリペイドカード」のようなもので、自国通貨表示のポイントを自国通貨で購入して直ちにモバイル端末のアプリに入れ、後はそのポイントを商品・サービス購入の際に店頭において端末同士で決済する。売り手側では決済のための固有端末を別途購入・準備する必要もなく、買い手側も決済手段が使える特定の系列店舗を探す必要もなくなる。今や人口の半分以上がこの決済手段に乗っているという。

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