遊技産業の視点 Weekly View

顧客にとって本当に必要な改善とは

 □ホールマーケティングコンサルタント、LOGOSプロジェクト上級研究員・岸本正一

 調査員が身分を隠し、顧客に扮(ふん)してサービスを受けた結果を、依頼者である企業や店舗にフィードバックする「ミステリーショッパー」という手法がある。依頼者が自店のサービスの品質維持やその向上を目的として活用するのが一般的だ。

 ホール業界でも時折、この手法を活用して自店のサービス強化にトライするケースがあるようだが、パチンコホールという業態に関して言えば、この手法の採用にやや違和感を覚える。

 例えば、「玉皿はきれいでしたか」というチェック項目があった場合、確かにこれはきれいに維持されている方が望ましいのは間違いない。しかしながら、実際は「人気ホールほど玉皿は汚れやすい」。スタッフ1人当たりの対応顧客数は、暇なホールよりも人気ホールの方が多くなるのは当然で、発射されるアウト玉の数も同様だ。大げさに言えば、稼働していない台は1回清掃すればほとんど汚れないが、人気ホールでは続々と客が遊技するため、そうはいかない。

 一方で、「玉皿の美観」が集客に与える影響は限りなくゼロに近く、ホールの人気を左右するような影響力はまったくないと言っても過言ではない。つまり、「玉皿」はきれいに保たれている方が良いのだが、これはホールの人気につながる要素ではない。だが、「ミステリーショッパー」という手法でアプローチした場合、どうしてもこのような(集客に)影響力のない項目までもがチェックの的となる。「ミステリーショッパー」という手法は、ホールのマーケティング活動における1つのツールであるはずなのだが、そこから逸脱して、「抜き打ちテスト」として無用なあら探しに終始するケースが懸念される。

 ホール業界は、その「商品の定義」が極めて困難な業界である。しかしながら、「ミステリーショッパー」の実施を前提として、安易にチェック項目が作成されることも少なくない。まずは、自店の「商品の定義」を行った上で、ハード面でもソフト面でも、顧客にとって本当に必要な改善を行うことが求められている。

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【プロフィル】岸本正一

 きしもと・しょういち 1963年生まれ。元SEの経験を生かし、遊技場の集客メカニズムを論理的に整理・研究する傍ら、全国のパチンコホールを対象にコンサルティングを行う。雑誌への連載やテキストの出版、セミナーでの講演なども手掛ける。オベーション代表。

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