いま、世界の金融はキャッシュレス化が飛躍的に進化、拡大している現実がある。弊社ではカンボジアなどで金融事業を行っているが、無のところから生み出される事業は最先端の一番便利かつ合理的なものが主流となり、デジタルバンキングが当たり前の状態からのスタートとなる。一方、日本の銀行はこの分野では発展途上国となっている。(マルハン代表取締役社長・韓裕)
世界の潮流や日本の将来を考えたとき、私たちの業界だけが現金のみでの遊技環境が継続していくということは考えにくく、実現に向けてどのような要件と課題があるのかを真剣に議論すべきであり、遅すぎるくらいだとも感じている。仮に、遊技業界においてキャッシュレス化を進めることができれば、運営コストも大幅に抑えることができ、お金の流れも完全に見える化されるため、健全化という視点でも大きく進化する可能性があると考える。
また、弊社はベンチャーキャピタル投資を事業として推進するなか、世界で新しい技術・サービスが技術ドリブンにより次々と生まれているのを肌で感じている。「そのような技術やサービス×パチンコ」という展開も可能性としては無限大である。自社および自らの産業分野の中だけでは限界があるとの考えのもと、パチンコもまさにオープンイノベーションの考え方を取り入れ、“遊び”を基軸にして新しい価値をお客さまに提案していくことができれば、社会における存在意義も強化されることになるだろう。
他方、テクノロジーを積極的に取り入れると、多くは「人を介さない」サービスになる。コスト効率や利便性は格段に向上するが、“人の関わり”は希薄になっていく。その中でパチンコは、人のふれあいを残した娯楽として、世の中全体の相対性から、それが希少価値として提案できるのではないかと考える。公営競技を含めて、世の中にある娯楽・余暇行動は、デジタルやバーチャルの領域が加速している。そういった中でパチンコは、人とのふれあいといった魅力を残して進化していくことそのものが、世の中にとって大きな価値となり得ると確信している。
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【プロフィル】韓裕
はん・ゆう 1963年4月生まれ。法政大学卒。90年にマルハン入社後、2001年に取締役営業統括本部長、05年に常務取締役営業本部長、06年に代表取締役副社長、08年に代表取締役社長に就任、現在に至る。