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ニコチン依存症向け治療用アプリを開発 キュア・アップ

 呼気データなど入力で助言配信

 モバイルヘルスベンチャーのキュア・アップ(東京都中央区)は、患者のそれぞれの病状に応じた指導を行う治療用アプリを開発中だ。同社が開発中のニコチン依存症治療用アプリは、国内初の治験を終え、厚生労働省に薬事承認を申請済みで、2020年の保険適用と発売を目指している。

 ニコチン依存症の治療用アプリは、慶応大医学部呼吸器内科と共同開発している。禁煙外来での活用を想定しており、医師からアプリの処方を受けた患者は、日々の気分や呼気中の一酸化炭素濃度などのデータを入力。このデータを医学的エビデンスに基づいて解析し、指導や助言、服薬の呼び掛けなどを瞬時に自動配信する。これらのデータは、医師のパソコンにも転送され、診療の際の手助けとなる。

 禁煙外来では、院外や在宅などの診察以外の時間帯に、患者が禁煙を諦めてしまう事例が課題となっている。同社のアプリを使用することで、患者の状況に合った助言ができる。

 同社は、高血圧症やNASH(非アルコール性脂肪肝炎)の治療用アプリの開発にも乗り出しており、治験などの準備を進めている。14年の薬事法改正で、治療用アプリに保険診療が適用されることになったことを契機に、開発が進められてきた。

 同社は5日、第一生命保険や森トラストなどを引受先とする第三者割当増資を行い、総額22億円を調達したと発表した。新たな治療アプリの開発や、3月に設立した米国法人を足掛かりにした海外展開などの費用に充てる。

 こうしたアプリの普及は増え続ける医療費の抑制や、医療の地域格差の是正につながる可能性がある。

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