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「空飛ぶ車」、万博で実現を 地元関西、高まる開発の機運

 人を乗せて空を移動する「空飛ぶ車」を、2025年大阪・関西万博で登場させようとする取り組みが関西で進んでいる。国内外からの注目を集める絶好の機会として、自治体や地元経済団体も実現に向け支援態勢を強化しており、小型無人機ドローンを応用した機体開発や飛行試験の機運が高まってきた。

 「万博に空飛ぶ車を登場させたら社会的なインパクトは大きい」。静かな山裾にある工房で、ドローンの設計・製造を手掛けるエアロジーラボ(大阪府箕面市)の永井好輝代表取締役は力を込める。

 エアロジーラボは、国内初となる水素を動力源にしたドローンを3人の技術者で開発している。水素動力は二酸化炭素(CO2)を排出しないので環境への配慮をアピールでき、一般的なバッテリーより何倍も長い時間の飛行が可能になるという。

 永井氏は「水素の容器の軽量化といった課題を克服できれば19年内に飛行実験ができる」と話す。24年初頭には人を乗せて飛行試験する計画で、プロペラを複数備えた軽自動車ぐらいの大きさの機体を思い描いている。

 近畿経済産業局は、中小企業の「空飛ぶ車」開発を支援するための委員会を今年1月立ち上げた。エアロジーラボなどが連携し、少なくとも1時間以上飛行できる機体を開発して、大阪市の人工島・夢洲の万博会場でのデモ飛行を目指す。

 大阪府や大阪市、大阪商工会議所も企業に協力を募り、飛行試験の支援態勢の充実を進めている。万博会場のそばにヘリポートを持つ小川航空(大阪市)は「将来の交通インフラの一端を担うチャンスだ」と場所の提供に真っ先に手を挙げた。

 大阪は空飛ぶ車の運用に向いているとされる。川や海など水面が広がっており、水上で飛行する方が住民の抵抗感が少ないからだ。

 大阪府の担当者は「万博会場と関西空港、神戸空港、新大阪駅など重要地点をほとんど川や海の上空を使ってつなげられる」と語る。

 米国やオーストラリアで20年から「空飛ぶタクシー」の試験飛行を行う米配車大手ウーバー・テクノロジーズも万博での協業を関西企業に呼び掛けるなど、事業化の可能性を探り始めている。

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