遊技産業の視点 Weekly View

障害者雇用でダイバーシティ取り組み

 全国のパチンコホールの団体である全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)は、今年2月20日に東京都で、そして7月25日に大阪府で「障がい者雇用促進講習会」を開催した。この講習会は今後、来年の3月にかけて全国の主要都市で開かれるようだ。

 全日遊連では、昨年より遊技業障害者雇用促進会議を通じてパチンコホール企業における障害者雇用について検討を進めるとともに、「開かれた業界づくり」を推進してきた経緯がある。なお、第1回には約70人が、第2回には近畿圏を中心としたホール企業の人事担当者ら約50人が参加した。

 講習会は2部構成で行われ、第1部では専門家による基調講演を、第2部では森治彦事務局長の司会進行のもと、障害者の雇用に注力している企業の担当者が登壇する形でのパネルディスカッションを実施。後者では、遊技業界における障害者雇用の先駆的企業の取り組み事例を紹介した。ちなみに、SAPハピネス、アスカが東京・大阪ともに参加するなか、東京にはダイナムジャパンホールディングスグループ特例子会社のビジネスパートナーズとニラク・メリスト、大阪にはマルハンと延田グループの担当者が登壇し、取り組みの現状や課題についてのリアルを伝えた。

 障害者の雇用については「障害者総合支援法」と「障害者雇用促進法」が下地となっており、1970年代には身体障害者、90年代には知的障害者、昨年には精神障害者の雇用が義務化されている。また、法定雇用率が2.2%%と定められるなか、パチンコホール企業大手のマルハンは2.25%、ダイナムも2.2%をクリアしている現状で、今後はホール企業の多くを占める中小・零細での対応が課題となってくる。ただし、ホール企業にかかわらず、現実的に中小企業での実践が容易ではない背景で、遊技業界では協同組合が実現に向けて機能することを期待する声もある。

 官制不況とも呼べる厳しい業況に在りながら、目先の生き残りのみにとらわれず、5年先、10年先の企業・産業の在り方を見据えたダイバーシティの取り組みがホール業界で進められている。

【プロフィル】濱口理佳

 はまぐち・りか 関西大学大学院文学研究科哲学専修博士課程前期課程修了。学生時代に朝日新聞でコラムニストデビュー。「インテリジェンスの提供」をコアにワールド・ワイズ・ジャパンを設立。2011年、有志と“LOGOSプロジェクト”を立ち上げた。

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