金融

地方銀行65%が職員削減 金融緩和後6年間 収益悪化に対応

 全国地方銀行協会に加盟する63の地方銀行の65%に当たる41行が、2019年3月末までの6年間で役員を除く正規職員を削減したことが10日、協会調査に基づく共同通信の集計で分かった。職員を増やした22行を含む全体では3754人少なくなり、減少率は2.9%。この時期は日銀の大規模な金融緩和と重なり、それまでの増加傾向が一変した。金融緩和に伴う超低金利で利ざやが縮小、収益が悪化したことに対応したとみられる。

 銀行の経営は厳しさを増し、2万人近い削減計画を進めるみずほフィナンシャルグループを筆頭に大手銀も組織のスリム化を急いでいる。今後、地銀も大規模な人員削減を迫られる可能性がある。生き残りに向けた再編機運も高まりそうだ。

 集計によると、63行の正規職員は13年3月末時点で13万811人だったが、19年3月末は12万7057人になった。1年前に比べ微増の17年3月末を除いて減少し、19年3月末は前年比1895人の大幅減となった。

 個別行で見ると、6年間で最も減少したのは十六銀行(岐阜市)で454人。山口銀行(下関市)の368人、鹿児島銀行(鹿児島市)の307人と続いた。最も増やしたのは伊予銀行(松山市)で220人だった。

 人員を絞り込んだ理由は地銀ごとに異なり、協会も調べていない。ただ銀行経営に詳しいアナリストは「業績悪化を受けて採用を抑制し、結果として多くの地銀が職員を減らしているのは明らかだ。職員数の減少は続くだろう」と話した。

 協会調査の64行から、きらぼし銀行(旧東京都民銀行)を除いて集計した。きらぼし銀は協会加盟の東京都民銀行、未加盟の八千代銀行と新銀行東京の3行が合併して18年5月に発足したため。

 きらぼし銀を含む64行の最終利益の合計は16年3月期に9403億円あったが、19年3月期は6223億円に落ち込んだ。日銀が16年2月、銀行から預かるお金の一部に年0.1%の手数料を課す「マイナス金利」を導入し、貸出金利などが低下したことで業績が急速に悪化したようだ。

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