金融

11年ぶりに日本の資金洗浄対策を調査 仮想通貨業者も対象に

 マネーロンダリング(資金洗浄)対策を担う国際組織の金融活動作業部会(FATF)が、28日から約3週間の予定で日本の対策を現地調査する。対日調査は2008年以来11年ぶり。金融庁や警察庁などの当局と金融機関に加え、暗号資産(仮想通貨)の発行や取引を手掛ける業者も今回初めて調査対象とする。

 日本は08年の前回調査で、金融機関の顧客管理などの面で対策の甘さを指摘され、新法制定や法改正を迫られた。今回の調査で再び弱点が見つかれば、国際的な信頼が揺らいで、海外の金融機関が日本との取引に慎重になり、日本からの送金の受領を拒むなどの影響が出る可能性がある。

 現地調査は11月15日までの予定。関係者への聞き取りを中心に、資金洗浄やテロリストへの資金供与が疑われる取引の届け出体制、テロリストの資産凍結制度、捜査体制など40項目を調べる。結果は「対日審査報告書」にまとめ、来年6月の作業部会の全体会合で内容を討議した上で、来年8月ごろに公表する。

 仮想通貨業者を対象に加えたのは、仮想通貨は利用者の匿名性が高く、取引の追跡が難しいものもあり、犯罪に悪用される懸念が国際的に強まっているためだ。米フェイスブックが「リブラ」の発行構想を発表し、世界的に仮想通貨への関心が高まったことも背景にあるとみられる。

 金融機関では大手銀行や地方銀行、証券会社、保険会社を調べる。

【用語解説】金融活動作業部会(FATF) マネーロンダリング(資金洗浄)やテロリストへの資金供与の防止を目的に1989年に設立された国際組織。事務局はパリ。日本の警察庁によると、2019年6月時点で日米欧を中心に37カ国・地域が加盟する。国際基準の策定のほか、加盟国・地域に審査団を派遣して各国の対策を現地調査する。日本への調査は93年、97年、08年に実施した。

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