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巨大ITに出店者の怒り頂点 楽天の通販送料無料化、公取委に調査要請

 楽天が通販サイト「楽天市場」で一定額以上を購入した利用者を対象に、商品の送料を出店者負担で一律無料にすると決めたのは独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」に当たるとして、出店者らが公正取引委員会に調査を求めたことが分かった。出店者は楽天との交渉に向け組合組織の設立準備にも入った。通販の場を提供する巨大IT企業に対し、場を借りて事業を営む中小の出店者の不満が爆発した形だ。展開次第では他のネット通販にも影響が広がる可能性があり、サービス競争が過熱する一方の業界に一石を投じそうだ。

 交渉の余地なし

 「売れば売るほど赤字になる。出品できなくなる商品も出てくる」。中国地方に住む出店者の60代男性が訴えた。楽天が「3980円以上の購入で送料無料」との方針を打ち出したのは8月初め。数日後に届いた書類に詳しい内容が書かれていたものの、既に交渉の余地はなかった。

 衣料品を取り扱う男性の店舗では、利幅は大きいとは言えない。4000円程度の注文の場合、仮に送料に750円かかれば、利益はほぼなくなる。楽天への出店手数料を差し引けば「赤字になるのは目に見えている」と言う。男性の店舗は楽天市場での売り上げが6割強を占める。不満があっても取引をやめるわけにいかないのが実情だ。男性は「多くの出店者が納得していないはずだ」と不信感をあらわにした。

 楽天のような「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業に監視を強めているのが公正取引委員会だ。ネット上のサービスは利用者の拡大に比例して利便性が向上する図式のため、市場の寡占や独占が進みやすい。強い立場を利用して取引先に不当に不利益を押し付けることは独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」に当たる。

 公取委は10月、独禁法違反の恐れがある事例を紹介し、プラットフォーマー各社を牽制(けんせい)した。示された事例の中には、規約を一方的に変更して出品手数料を引き上げたり、ネット通販の返金を出品者に負担させたりする行為が含まれる。独禁法に詳しい早稲田大法学学術院の土田和博教授は「送料無料になると店舗の負担増は避けられず、独禁法上問題になる可能性がある」と指摘する。

 共倒れに危機感

 ネット通販業界の競争は激しさを増す一方だ。国内の取扱高で楽天と首位を争うアマゾンジャパン(東京)は独自の物流網を構築し、直販商品を安く配送している。楽天がこれに刺激を受け、送料一律無料化で対抗した形だ。

 3番手のヤフーを運営するZホールディングスも11月、約4000億円を投じて国内衣料品通販最大手のZOZO(ゾゾ)を株式公開買い付け(TOB)を通じて子会社化しグループに組み込むなど追い上げを見せる。

 楽天幹部は「分かりやすい料金体系を示せなければ消費者は離れる。楽天が生き残れなければ出店者も共倒れだ」と危機感を漏らした。

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