トヨタ自動車は、「自動車を製造して売る」というこれまでのビジネスに加え、サービス面を強化し、幅広い事業を行う「モビリティー(乗り物)カンパニー」への脱皮を目指している。IT技術の発達により、1台の車を複数の世帯で使うことが容易になってきたほか、将来は次世代移動サービス(MaaS)の市場も拡大するとみられているからだ。「車は所有するもの」という消費者の意識が変わってきており、「ジモトヨタ」も構造改革の必要性を背景に生まれたサービスだ。
トヨタは今月、さまざまなモノやサービスがインターネットでつながる実証都市「コネクティッド・シティ」を静岡県裾野市に建設する方針を発表。来年初めに着工する。約70.8万平方メートルに同社の従業員ら約2000人が実際に暮らし、自動運転車両やロボット、人工知能(AI)などの最適な活用法を探る。インフラには太陽光や水素による発電を活用。住宅ではセンサーとAIを使うことで冷蔵庫を自動で補充したり、健康状態を自動でチェックしたりできるという。
この実証都市でも利用が予定されている開発中の箱型自動運転電気自動車「eパレット」は、将来的にトヨタのMaaSの中核を担うと期待されている。動く店舗や病院、オフィス、ホテルなど、さまざまな用途に使われることが想定されている。
今夏の東京五輪・パラリンピックの選手村(東京都中央区)の中を巡回する自動運転バスとしても使われ、選手や大会関係者の移動を助ける予定だ。
2018年秋には、MaaSの本格展開を見据えてソフトバンクとの提携を発表。国内ではカーシェアリングや定額制サービス「KINTO(キント)」などにも力を入れている。今後もグループ各社で「モビリティーカンパニー」を目指した動きが続くとみられる。(高橋寛次)
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■トヨタが進める「モビリティーカンパニー」への転換策
・箱型の自動運転EV「eパレット」
「動く店舗」「動くオフィス」など多用途を想定
・「コネクティッド・シティ」建設
自動運転車やロボットなど、さまざまなモノやサービスがインターネットでつながる生活を実証
・MaaSアプリ「my route」
電車やバス、タクシーなど複数の交通サービスを1つのアプリで利用可能
・「トヨタカーシェア」全国展開
販売店などを拠点にスマホアプリで予約・乗車
・定額制サービス「KINTO」
税金や自動車保険、メンテナンス料も含めた月額での車の「利用」を可能に