講師のホンネ

見えないところでがんばる部下に テレワークを支えるねぎらいの一言

 私は20年ほど中小企業の労務管理を支援している。4月から、労務管理の現場でも新型コロナウイルス感染症予防の観点から「テレワーク」が一般的になった。テレワークは、育児や介護を担う者の社会参加を促進し、ワークライフバランスに寄与する働き手にとってメリットがある就労方法とされている。「働き方改革」「一億総活躍」と言われつつ、長らく導入が進まなかったテレワークがこのような形で広がったことは、コロナ騒動の数少ないプラスの側面と言ってもいいだろう。(松井一恵)

 先日こんなことがあった。顧問を務めるある会社での出来事。その会社では、緊急事態宣言と同時に全社員に対しテレワークを命じ、社員は自宅で仕事を続けることになった。間もなくして、ある女性社員から仕事のメールをいただいた。メールの返信をする際、末尾にこんな一文を入れた。「まだまだコロナの感染は、油断ができません。どうぞご自愛ください」

 すると、彼女からすぐに電話がかかってきた。「先生、なんで、そんなに優しいんですか。私、もう曜日もよく分からないし、上司の連絡は仕事の指示だけ。報告は上げていますが、給与はちゃんと出るんでしょうか。家での仕事はしんどいです」。しばらく話を聞き、落ち着かせてから、電話を切った。

 コロナ自粛の影響もあるだろうが、テレワークには自分で自分を管理し、成果を出し、それをアピールしていかなければならないプレッシャーがかかる。そんな彼女に「ご自愛ください」の一言が響いたらしい。

 ポストコロナにあっても、一度導入したテレワークが従前に戻るとはかぎらない。会社側もメリットがあることを如実に実感するからだ。大きなオフィスは必要ない。家賃や光熱費は削減できるし、災害時のリスクも分散、低減できる。空間を共有せずに働くことが当たり前になると、より一層、管理職のコミュニケーション力が問われる。

 まずは、業務連絡のメールの末尾にねぎらいの一言を添えて、見えないところでがんばる部下に、エールを送ることから始めてみてはどうだろう。

【プロフィル】松井一恵

 まつい・かずえ 1968年、大阪府出身。2000年3月、社会保険労務士として独立開業。主に、企業の顧問や労務管理を通じて中小企業に寄り添っている。近著に、「『ブラック企業』とゼッタイ言わせない 松井式超!働き方改革」(KKロングセラーズ)がある。特定社会保険労務士、CFP認定者。

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