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止まらぬ就活ハラスメント 企業全社員の意識改革訴え

 就職活動中の学生に対するハラスメントが無くならない。多くの企業は「採用活動のときは異性の学生と2人きりにならない」などの対策を取っているが、採用担当以外の社員も接するOB訪問や懇親会で問題が起きる場合が多い。学生らは企業の対応はずれているとして「全社的な意識改革が必要」と訴える。

 「うちは社内結婚が多いから、早く同僚の彼氏をつくらないと売れ残っちゃうよ」。3月に上智大を卒業した女性(23)は、インターンシップ(就業体験)後の飲み会やOB訪問で言われた言葉を思い出しては苦々しくなる。

 大手のメーカーや金融などの選考を受けたが、面接以外の場ではほぼ恋人の有無を聞かれた。パンツスーツの日は、「何でスカートじゃないの」と言われたことも。人事担当以外からの発言で、中には女性もいた。「答えないと選考に響くと思った。内定を取るのに必死で」。当時は仕方がなく「早く結婚しないとまずいですよね」と応答したが、不快な思いだけが残る。

 6月からパワハラ防止対策が企業に義務付けられるが、国の対策指針は、自社の社員が主な保護対象。就活生については「社員と同様の方針を示し、相談があった場合は適切な対応に努めることが望ましい」にとどまっている。

 共同通信が1、2月、主要企業110社に就活生へのハラスメント防止について書面で調査したところ、67.3%(74社)が「対応済み」と回答。「対応する予定」は13.6%(15社)。「今のところ対応予定はない」とした企業も15社あった。

 主な対策は、1対1の面談は社内施設や公共の場を使う、飲酒や異性からのOB訪問禁止など。社員へのマニュアル配布や研修のほか、全社員対象の対策としてはメールや掲示板での注意喚起が挙がった。

 一方、ジェンダーの平等に関する署名や要望活動をする「Voice Up Japan」のメンバーで、国際基督教大3年の山下チサトさんは「笑い飛ばすのが大人という空気があり、周囲が助けてくれなかったという被害者も多い。全社員の意識を抜本的に変え、手を差し伸べる人を増やすことが大切だ」と話した。

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