新型コロナウイルスの感染拡大を受け、自宅などでのテレワークを導入する企業や官公庁が相次ぐ中、人事労務面では社員の勤務状況の管理や仕事の実績などについて、従来の評価手法の見直しが課題となっている。特に人材流出に悩む中小企業のニーズに応えようと、ブレイン社会保険労務士法人(東京都千代田区)とシステム開発のプライムリンク(同墨田区)は、人事評価システム「効果まんてん君」を共同開発し、7月から本格発売する。
専門コンサル助言
顧客の要望に応じて人事評価専門コンサルタントから助言が得られるのも特長。発売1年間で1000社の顧客契約を目指す。
この評価システムはインターネットのクラウドで管理され、人事評価者は、「周囲に積極的に協力する(積極性)」「他者のアイデアの実現を一緒に考えることができる(協調性)」など、それぞれの社員の仕事に適した評価項目をデータベースから選び、自社に合わせて容易にデフォルト(初期設定)できる。部署や役割ごとに、評価項目の比重を調整することも可能だ。
さらに、評価項目ごとに「成長着眼点」を設定でき、部下は「何ができるようになれば評価が上がるのか」を具体的に知ることができる。また、社員は上司と面談をしたうえで個人目標を登録し、進捗(しんちょく)状況などを報告し、上司はその目標の達成度をコメントする。定性的な評価・スキル評価、目標管理などの組み合わせで設定された自己評価と上司の評価などの点数を総合して100点満点で評価する。
職務別のスキルや目標を明確化することで、社員からの昇給・昇格に関する不満が解消される。また、上司には、「気づきメモ」という部下の評価を毎月記入する機能があり、評価のぶれをなくすことにつながる。
「職務給」定着促す
テレワークのメリットは、社員が働き方を自ら選択したり、仕事と子育て、介護などを両立したりできることだ。ただ、人事労務面では、社員の勤務実態が見えないことから労働時間の管理や達成した仕事の評価をどうするかが課題となる。そこで、仕事の内容や成果に応じて評価される「職務給」の考えが基本となる。
このシステムを監修した社会保険労務士の北村庄吾氏は、1997年に人事考課に基づいて賃金・賞与配分などを自動算出するソフトを開発し、メディアに掲載されるなど話題となった。しかし、当時は勤続年数に応じて能力が高まることを前提とした「職能給」が日本企業の主流だったため、職務給は定着しなかった。
北村氏は「テレワークが普及すれば、賃金は年功序列ではなく職務能力に対して支払われる時代になる。令和版のシステムは客観的な評価ができるように改善しており、社員も会社も持続的な成長ができる」と話している。