メーカー

地熱を使った農業や町づくり紹介 札幌で地熱発電シンポ

 地域や自然と共生する地熱開発を考えようと、「地熱シンポジウムin札幌」が19日、札幌市内で開かれ、会議の模様をオンライン形式で延べ2322人が視聴した。地熱発電の余熱を活用したハウス栽培や町づくりなど地域の取り組みが紹介された。

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の主催。地熱発電は、火山が多く世界の「三大地熱資源国」であるわが国にとって、昼夜・年間を通じ安定して安く発電できる「ベースロード電源」として期待される一方、温泉事業者ら地域の理解が大前提となっている。

 この日は、北海道で唯一の大型地熱発電所が立地する森町で長年、余熱を使ったトマトやキュウリのハウス栽培を続ける森・澄川第1利用ハウス組合役員の伊藤博之氏が、熱交換施設の毎月の清掃を住民自ら行っていることなど現状を説明。「少子高齢化が進む中で、地熱を取り込んだ事業に地域一体で取り組んでいきたい」と話した。

 摩周湖や温泉で知られる弟子屈(てしかが)町の徳永哲雄町長は、平成28年度から総務省の委託事業で進める地熱資源を活用した町づくりを紹介。「地熱を農業や一般の生活、小学校の暖房にも利用したい。最後のぬるま湯もティラピアの養殖に使うなど、余すことなく活用していきたい」と語った。

 来賓で出席した超党派の「地熱発電普及推進議連」共同代表、増子輝彦参院議員(福島選挙区)は「あの原発事故から来年3月で10年を迎える。いまだ4万人近くが全国で避難生活を強いられる状況の中、地熱という再生可能エネルギーのチャンピオンを、何としてでも全国で普及、推進したい」と述べた。

 資源エネルギー庁の南亮資源・燃料部長は、国のエネルギー基本計画の見直しのための議論が始まったことに触れ、「本日の最新の知識や現場の実態も踏まえ議論に生かしていきたい」とした上で、「地熱関係予算は来年度の概算要求に170億円を盛り込んだ。効果的に成果を出すよう活用していきたい」と話した。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus