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競技人口激減、危機感のないNPB 大丈夫かプロ野球 (1/2ページ)

 日本シリーズはソフトバンクが巨人を4タテで下し、日本一を獲得した。球界の「王者」とうたわれた読売ジャイアンツの弱さというか、セ・リーグの弱さを目のあたりにさせた日本シリーズであった。「お荷物」と呼ばれたパ・リーグが強さと人気を盛り返す。盟主の弱体に引きずられるセ・リーグ。大丈夫かプロ野球。(GBL研究所理事・宮田正樹)

 選手とファンつなぐ

 少年野球人口の減少に危機感を持つ日本野球機構(NPB)が、新型コロナウイルス対応として「みんなとキャッチボールプロジェクト」を立ち上げ、ツイッターやユーチューブを活用して動画配信などを展開したのは、今年前半のことであった。

 「選手とファンの野球に対する熱い思いをつなげる」を合言葉に展開されたこの活動の背景に、日本プロ野球選手会(JPBPA)が2006年からスタートさせた「キャッチボールプロジェクト」の存在がある。

 これはキャッチボールが公園で禁止されていることや、適当な空き地がないことなどにより、子供たちが野球に親しむ原点ともいえるキャッチボールを行う機会が減っていることへの危機感をプロ野球選手たちが抱いたことから始まったプロジェクトである。

 世間の「堅いボール=危険」との懸念を和らげるために、キャッチボール専用球「ゆうボール」を老舗メーカーである内外ゴムと開発し、ゆうボールを使ったキャッチボールイベントをプロ野球OBや選手の協力で実施してきている。19年からは、キャッチボールの正確さとスピードを競う「キャッチボールクラシック」というゲームを創作し、大会を催している。

 JPBPAが8月に発表したのが、「野球・ソフトボール体験会サポートプロジェクト」である。JPBPAによると「各学童チームにより実施されている体験会に現役プロ野球選手を派遣することによって、体験会への参加者を増やし、競技人口増加を期待した事業」であり、実施日は12月13、19、20日のいずれかだという。

 全日本軟式野球連盟と日本ソフトボール協会に登録のある47都道府県の学童チームから、12チームを募集して行われる。日本マクドナルドがスポンサーとして決まっているという。このプロジェクトも野球・ソフトボールの競技人口減少に対する取り組みとして始動するものである。

 NPBの役割

 日本の少年野球の競技人口は、10年からはっきりと低下に転じている。この時期から小中学校の野球競技人口が減少に向かい、現在は10年前の3分の2以下になっているという。この間、少子化も進んでいるがそれを上回るスピードだという。

 JPBPAは選手の立場でこの傾向を実感としているからこそ、06年から行動を開始したのであろうし、その地道な努力は大いに評価したい。しかし、肝心のNPBにその危機感がほとんど感じられない。

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