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ドコモ5G千円値下げ 「想定内」利用者に落胆

 NTTドコモは18日、第5世代(5G)移動通信システムに対応した大容量プランを来年4月1日から1000円値下げすると発表した。ただ、実質的には半年間限定だった値下げキャンペーンを恒久化しただけという見方もあり、同社が開始するデータ通信量20ギガバイトで月2980円の新プラン「アハモ」を上回るインパクトはない。

 「家族で使ってお得を感じてもらえるコンセプトになっている」

 18日の説明会でドコモの田村穂積副社長はこう“割安感”を強調した。しかし、今回の値下げは半年間限定で1000円を割り引く「ギガホ割」を廃止する代わりに、5Gの契約者に限って同額を恒常的に値引きするのが実態だ。

 ドコモの5Gプラン契約数は9月末時点で約40万件。利用者の少ない5Gプランの割引を前面に出し、値引きを強調すると同時に、主力の従来規格4Gの値下げは抑え、収益への影響を最小限にとどめたい本音が見え隠れする。

 4Gの大容量プランの値下げは5Gより少ない600円。これにより、5Gと4Gの価格差を100円に縮め、伸び悩む5Gへの移行を促す狙いも透けて見える。

 ネット上には「利用者が少ないプランの値下げではあまり意味がない」とドコモの思惑を見透かすような書き込みも目立つ。アハモの発表には頭を抱えた競合他社も「これなら十分対抗できる」と余裕の表情をみせた。

 同日の説明会でドコモはアハモへの事前予約が30万件を超えたことを明らかにした。ドコモは自社の大容量プランからの乗り換え数は非開示としたが、アハモの人気は現行の4Gで十分楽しめる20ギガバイト程度の割安プランを求めるニーズが大きいことを示している。

 他社からの乗り換え獲得の切り札として投入するアハモだが、利幅の大きい大容量プランの自社ユーザーさえも切り崩す禁断の果実でもある。本来は大容量プランの契約を増やした上で5Gの普及を進めたかったはずだが、こうした動きにブレーキがかかりかねないからだ。

 KDDI(au)は1月にアハモの対抗プランを発表するとしており、ソフトバンクも対応を検討中だ。今後の携帯電話各社の競争はアハモ対抗が主軸となる。各社の対抗策が出そろって、他社からのアハモへの乗り換えが伸び悩めば、ドコモに一気に逆風が吹くことになりかねない。

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