コロナ禍の中、教育現場にも多くの負担が強いられている。授業時間の不足を取り戻すために、小中学校の授業日程は土曜日まで拡大し、オンライン学習や、一人ひとりの児童生徒をメンタルも含めてきめ細かく見守る取り組みが、これまでにも増して求められている。加えて、GIGAスクールによるPC導入でICT化が加速している。その一方で、先生たちの働き方には課題も多い。中でも、日々の校務は、大切な業務であると同時に先生たちの長時間労働となってきた。児童生徒に向き合う時間を確保するために、内田洋行では統合型校務支援システムの「デジタル校務」を全国の教育機関に提供してきた。その実績と成果、そして「デジタル校務」を支える最新PCの重要性について聞いた。
52.2%の時間削減に貢献する「デジタル校務」
内田洋行のICTリサーチ&デベロップメントディビジョンの井上由紀夫部長は「デジタル校務」の導入に伴う時間削減の効果について「52.2%」という数字を示す。それは「デジタル校務」を導入した学校が、業務時間の削減を達成した実績で、年間で90時間に及ぶ。削減された具体的な校務とは、名簿や通知表の作成に、出席簿や保健の管理、要録など。中でも、通知表の作成では38時間23分かかっていた作業が17時間24分に、要録では36時間が3時間28分という劇的な改善効果が得られている。
井上氏は「デジタル校務の導入は2600校に及びます。2019年度には、福島県教育委員会において、統合型校務支援システムを県内統一の推奨システムとするために『デジタル校務』が選定されました。県内のシステムを統一することで、教職員の運用負担を軽減する狙いと、県内異動の教職員の利用効率化が期待できます」と話す。「デジタル校務」は「ウチダ公共クラウド」環境で運用されるので、ハードウエアやシステム関連の購入やメンテナンスが不要で、教職員はクラウド経由で校務に専念できる。そんな「デジタル校務」が提供する機能は、総合的な教務支援と教育委員会事務との連携になる。
井上氏は「先生方の負担となっている1つが教育委員会等からの調査やアンケートへの対応です。手作業による転記や入力の二度手間等を省力化し、より児童生徒一人ひとりに注力できます。また先生方の勤務実態を把握し働き方改革に貢献します」と説明する。
高性能なインテルCPUを搭載したPCの導入が教職員の働き方改革にも貢献する
「デジタル校務」の導入に加えて、教務の現場を支援する決め手が、先生の端末用の高性能なPCの導入にある。その理由について井上氏は「デジタル校務では、各種の管理データや統計情報をPCにダウンロードして、Excelなどで分析できるようになっています。また、地図情報を活用した児童生徒の居住地情報や地域情報の視覚的な管理も可能です。こうした機能を快適に利活用するためには、先生方が利用するPCも、高性能なインテルCoreプロセッサー搭載のPCが適しています」と話す。
最新のインテルCPU搭載PCは、3~5年前のPCに比べて、性能が飛躍的に向上している。例えば、Windows10の起動にかかる時間が大幅に短くなり、職員室に戻ってきた先生が、電源を入れたらすぐにPCを使えるようになる。また、ネットワーク性能や画面描画なども高速化され「デジタル校務」も快適に利用できる。さらに、セキュリティー対策も強化され、指紋や顔認証によるログインなど、大切な個人情報が記録されたPCを安全に守る機能も充実。教職員の働き方改革にとって「デジタル校務」と最新の高性能CPUという組み合わせは、教務支援の両輪となる。
学習系との連携や個人カルテで9年間の成長を見守る
「デジタル校務」では、学習系データとの連携も強化している。井上氏は「OneRosterを利用して「デジタル校務」のクラス名簿をMicrosoft 365 Educationなどの学習系システムのアカウントと連携する実証を、滋賀県草津市様で行いました。今後、実案件でもOneRosterを活用していきます」と解説する。
現在の教育データの種類はサービス提供者によって異なるため相互に利用することが難しい。OneRosterとは、校務系と学習系の間で名簿、成績情報などのデータを安全に共有するための国際技術標準。これにより、「デジタル校務」が持つ名簿情報を、標準化されたデータや通信仕様で学習系システムと共有できるようになり、複数の学習系システムから出力された児童生徒の学習データを、様々な角度から分析できるようになる。
一方で「デジタル校務」による他システムとのデータ連携は、成長の記録や見守りなどにも効果を発揮する。井上氏は「デジタル校務で作成できる『個人カルテ』は、児童生徒一人ひとりの9年間の成長記録です。欠席が続いているとか、月曜に保健室によく行くとか、体力テスト、成績、アレルギーの有無など、児童生徒の情報が体系的に蓄積され多くの先生方が共有することで、きめ細かい指導やサポートにつながります」と話す。
今後は、就学前の段階からの子育て相談、発達相談、教育相談等のデータ連携も視野に。さらに「より一人ひとりの生徒をきめ細かくサポートできるように、厚生労働省の推進するPHR( パーソナルヘルスレコード)への対応や、児童生徒の家庭環境や貧困、不登校、世帯収入など多様な情報と連動した見守りの強化も検討しています」と展望を語る。
(提供 株式会社内田洋行)