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在宅勤務、「分身」操り社員交流 オンライン上に仮想オフィス

 新型コロナウイルス禍で在宅勤務が広がる中、オンライン上の仮想オフィスを利用する企業が増えてきた。「会議中」「休憩中」といった社員それぞれの状況がパソコンの画面に映し出され、一緒にラジオ体操をしたり、自分の分身(アバター)を操って他の社員と交流したり。意思疎通がしやすく、孤独感解消に一役買っている。

 「腰が痛くなってきた。ラジオ体操をしないか」。システム開発「アジャイルウェア」(大阪市、従業員約40人)のプロジェクトマネジャーがある日の夕方、マイクを通じて社員たちに呼び掛けた。数人が仮想オフィスの「会議室」に入室。画面上で互いの様子を見ながら汗を流した。

 同社は昨年2月末以降、全員が在宅勤務に。打ち合わせにはビデオ会議を利用したが「会議中以外は他の人に声を掛けにくい」「システムをいちいち立ち上げるのが面倒」などの意見が出て、同4月から仮想オフィスを利用し始めた。

 現在利用しているシステムでは「エンジニア」「営業」など部署ごとのスペースのほか、「集中作業中」「打ち合わせ中」といった部屋も。社員が操作するアイコンの場所により、互いの状況が把握できる。

 費用は月約2万円。川端光義社長は「在宅勤務になった際、コミュニケーションが取りにくくなることによる社員のストレスが心配だった。仮想オフィスで声が掛けやすくなり、風通しが良くなった」と話す。

 一方、仮想現実(VR)のイベントを企画する「HIKKY(ヒッキー)」(東京)は3Dのオフィスを利用。取材でゴーグル型のディスプレーを頭に着け、「会議室」を訪れるとカラフルなアバター姿で動き回る社員たちに出迎えられた。接近されると思わずのけぞってしまうほどの臨場感だ。ディスプレーが動きを認識し、互いの表情も分かる。

 2018年の設立以来、実際のオフィスには数回しか出社していない幹部もいる。社員の一人は「普段からアバターで接しているので、性別も意識しない」という。

 仮想オフィスを利用しても在宅勤務と同じで、基本的には社員が実際に何をしているのか分からない部分はある。

 コロナ禍以前から利用しているというコンサルティング会社「テレワークマネジメント」(東京)の田沢由利社長は「性善説に立つ」という。社員は働いているものと見なし、むしろ「何げない会話からヒントが生まれる」とメリットを強調する。

 第一生命経済研究所の柏村祐主任研究員は「日本の会社では職場での雑談や雰囲気を重んじる傾向がある」と指摘。「在宅勤務が主流の会社では今後こうした取り組みが広がっていくのではないか」としている。

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