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マック営業利益、過去最高 カサノバ流「ファミリー重視」が奏功 (1/2ページ)

 新型コロナウイルス禍で外食チェーンの苦境が続く中、日本マクドナルドホールディングス(HD)の業績が好調だ。9日発表の令和2年12月期連結決算では、コロナ下にもかかわらず9年ぶりとなる営業利益の過去最高更新を達成した。背景にはハンバーガーという、持ち帰りや宅配がしやすい商品特性だけでなく、サラ・カサノバHD社長が推し進めてきた「ファミリー重視」の路線が奏功したという側面がある。

 令和2年の月別の既存店売上高は3、6月を除く10カ月は前年同月比プラスを確保する好調さだった。9日の決算会見でカサノバ氏は、「(昨年は)過去50年に築いたお客さまとの絆やブランド価値、マクドナルドに対する社会からの期待を改めて認識した年だった。これまで取り組んできたさまざまな施策が奏功した」と振り返った。コロナ禍で高まった巣ごもり需要や店での非接触対応を求める客のニーズをとらえたのは、デリバリーやドライブスルー、スマートフォンで来店前に注文し決済が完了する「モバイルオーダー」で、いずれも平成30年からの中期経営計画で強化を打ち出した施策が下支えとなった形だ。

 カサノバ氏が事業会社社長に就任したのは平成25(2013)年8月。前任の“プロ経営者”と呼ばれた原田泳幸氏は低価格メニューで集客力を高めて売上高を伸長する基本戦略を展開し、業績不振の同社をデフレ下にV字回復させたが、競合の相次ぐ登場に優位性を保てず業績は失速中だった。原田氏とは異なり、カサノバ氏はカナダやロシア、マレーシアのマクドナルドで経営に携わり、日本でも原田体制下でマーケティング担当を務めた、いわば生え抜きの人物だ。

 26年3月に原田氏に代わりHD社長に昇格したカサノバ氏は家族連れの食事の場の提供という「ファミリー重視」戦略を打ち出す。ところが、同年7月は期限切れ鶏肉問題、27年1月には異物混入問題に直面。食の安全に疑問符が付いたことで顧客離れが進み、26年12月期に営業損益が赤字に転落。カサノバ氏の経営トップとしての対応不足に加盟店からも非難の声が上がった。

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