現場の風

清水建設 将来は東南ア全体で土壌汚染処理を

 清水建設常務執行役員・関口猛さんに聞く

 --ベトナム戦争の枯葉剤由来のダイオキシンに汚染されたビエンホア空港の土壌を浄化する実証実験の成果が確認された。取り組みの経緯ときっかけは

 「ベトナムで枯葉剤の汚染が深刻というのは、現地に出張するとよく耳にする。ため池の底にダイオキシンが沈んでいて、まだ魚を捕ってはいけないという状況だ。そういう中で当社の土壌処理技術が使えるのではということで、2014年ごろから現地の営業所にも協力してもらい、環境関係のベトナムの当局に問い合わせしたり、技術情報の交換をしたりした」

 --ベトナムならではの苦労はあるか

 「手続きがいい加減でとにかく苦労した。プラントを現地に運ぶ手続きでもいろんな行き違いがあって待たされるなど時間がかかった。もっと早く現地で実験をしたかったが、やり始めたらやめるわけにもいかなくなった。30年にはプロジェクトが終わればと考えている。ベトナムの土壌汚染処理の主流になれればと思う」

 --浄化処理の技術的な特徴は

 「ダイオキシンは細かい粒子に付着する傾向にあるので、細かい粒子をふるい分けた後、水洗いやこすり洗いをして分離した汚染物質を泡の表面に付着させる『フローテーション』と呼ばれる処理を行う。処理のレシピは重要なノウハウなので特許をとっている」

 --ベトナムの他の場所や東南アジアのほかの国の汚染処理にも取り組むのか

 「空港の中に、たまたま汚染濃度の高いホットスポットがあるので処理の対象にしたが、今後は現地企業が開発する民間の土地の汚染処理に当社の技術が役に立つといいなと。深刻になっている農薬の汚染水や土壌処理に協力してほしいという話もベトナム政府からいただいている。将来は東南アジア全体で土壌浄化を展開したい」

【プロフィル】関口猛 せきぐち・たけし 東工大院修了。1984年4月入社。2007年11月生産プラント本部長などを経て2020年4月から現職。東京都出身。

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