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新型コロナ、ワクチン接種を支えるベンチャー企業 

 65歳以上を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種が12日、東京都世田谷区と八王子市で始まった。他の自治体にもワクチンが順次供給され、大型連休後には各地で集団接種が本格化する見通しだ。この集団接種をベンチャー企業が支えている。

 製造業向けIT(情報技術)支援を手がけるFAプロダクツ(東京都港区)は同日、集団接種の会場運営を事前にシミュレーションできる検証モデルを開発したと発表した。これを使えば、会場運営の模擬訓練に要する時間を大幅に短縮できるほか、訓練後の実績データを取り込むことで、接種計画の改善も図れる。

 同社は工場向けの生産計画のシミュレーションソフトを開発している。接種会場を「ひとつの工場」に見立て、1日あたりのワクチン接種可能な人数、混雑を避けられる動線、待合場所に必要なスペースの広さ、保健所や自治体の職員の適正な配置人数などをはじき出す。

 報道ベンチャーのJX通信社(同千代田区)は、同社のニュースアプリを通じて接種予測サービスを提供している。データサイエンスが専門の米イェール大学の成田悠輔助教授と共同で開発。年齢や居住地などを入力すると、接種が受けられる時期を知らせてくれる。

 JX通信社は開発にあたり、全国1700超の自治体を対象に独自調査を実施。その回答内容、人口統計など各自治体の基礎データ、各都道府県の接種計画をもとに、接種時期を予測する。12日からの接種開始を受け、予測に必要なデータを更新。接種時期が数カ月後ろにずれる自治体が多く、なかには来年になるケースもあるという。

 自治体によっては、医療機関を接種会場とするケースもある。電子商取引(EC)支援のヘイ(同渋谷区)は、オンライン予約システム「ストアーズ予約」を活用した新型コロナウイルス接種予約システムを開発し、自治体や医療機関に向けて販売を始めている。

 接種希望者は予約ページから希望する病院などを選択し、接種券の番号などを入力する。予約状況やワクチンの在庫情報が自治体と医療機関相互で共有できる。

 新型コロナウイルスワクチンは温度管理が難しく、しかも日本ではその量も限られる。ベンチャー企業のこうしたサービスは、貴重なワクチンを無駄にしない環境を作っている。(松村信仁)

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