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米IT大手セールスフォース・ドットコム障害が日本波及 特定企業依存にリスク

 米IT大手セールスフォース・ドットコムがインターネット上で手掛けるクラウドサービスで日本時間の12日に発生したシステム障害は、日本を含む各国のインターネットサービスに影響を与えたもようだ。障害は約5時間で復旧したものの、特定のIT企業にシステムを依存するリスクが浮き彫りになった。

 セールスフォースの日本法人によると、障害は12日午前6時8分に発生。午前11時20分には、すべてのシステムが正常に復旧したという。海外メディアは障害は「世界中で起きた」と報じた。セールスフォースは、社内でシステムの修正作業を行った際、誤って、ネット上の住所に当たるドメインなどを管理するシステム(DNS)が使えなくなる障害を起こしてしまったと説明している。

 セールスフォースは企業などが持つ顧客情報の管理をクラウドと呼ばれる仕組みを活用して一元的に行うサービスを提供。顧客には欧米の大手金融機関など多くの企業が含まれる。セールスフォースの日本法人は昨年4月、厚生労働省主導の新型コロナウイルス関連情報にかかわるクラウドシステムを構築し、運用が始まったと発表した。

 12日には新生銀行でも、午前6時過ぎからシステム障害が発生。海外送金や口座開設、住宅ローンの申し込みなどのサービスが一時利用できなくなった。セールスフォースの障害が原因とみられる。ほかにもSMBC日興証券や三菱UFJモルガン・スタンレー証券でも同様の問題が起きたが、いずれも数時間で復旧した。

 ネットワーク経由でさまざまなソフトウエアやデータを利用できるクラウドサービスは、設備投資のコストを抑制しつつ、高度なデータ処理や業務管理を行うことができる。ただし障害が起きた場合の影響が大きくなるリスクも抱えており、事業者には厳格な運用が求められる。

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