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エビスビールが「ちょっと贅沢なビール」と言わなくなったワケ (2/2ページ)

 ■これからは「手に取った後の体験」を重視したい

 エビスビールが130年間積み上げてきたブランド力や、おいしさへこだわってきたプライドは守りつつも、既存の付加価値に固執することなく、ビールの多様性や消費者ニーズが変化する時代においても選ばれるビールを目指すためにブランド改革に乗り出したわけだ。

 だが、コロナ禍による家飲み需要の高まりからリッチなビールを飲みたいという消費者も増え、他社との差別化が問われる状況になっている。

 エビスビールはどのようにして、新たな需要を喚起していくのだろうか。

 沖井さんは「いろいろなオケージョンの提案を行い、エビスビールの飲用回数を増やしていきたい」と話す。

 「エビスビールの普遍的な価値といえるおいしさへのこだわり、品質の高さは広く浸透しているので、これからは手に取った後の体験を重視していきたいと考えています。1日の仕事終わりではなく、エビスビールから始まる自分の時間を楽しんでいただきたいですし、エビスビールならではの飲用シーンを開拓していきたいですね。役職がついてから、とか、1年に数回のハレの日のみならず、日常の中でエビスビールを飲む時間を楽しんでいただきたいと思っています」

 ■「モノ」から「コト体験」へシフトし、ギフト需要を喚起する

 また、ビールという「モノ」だけではなく、特別な「コト体験」を届けるためのギフトセットもAmazon限定で発売し、身近な人へ贈るギフト需要に応えていくという。「エビス体験ギフト」(6765円・税込み)には、350ml缶のビール8本に加え「エビスオリジナル体験カタログ」が付いている。エビスビール記念館での体験やグラスのペアセット、陶芸体験コースなどから、好みの体験を選ぶことができるものだ。

 「ギフト需要も、昔はお中元やお歳暮などに代表されるフォーマルな形での贈り物が一般的でした。それが最近では父の日や母の日、誕生日など身近な人へ贈るパーソナルギフトが伸びてきています。もともとエビスビールは、儀礼的な贈り物として購入いただくケースが多かったのですが、“体験ギフト”への注目が高まっていることから、身近な方への新しい贈り物の在り方として、エビスと一緒に特別な時間を楽しめる『エビス体験ギフト』を4月より発売しています。お客様のニーズにあわせたギフトで、今の時代にあった新しい贈り物の需要を掘り起こしていければと思います」

 ハレの日だけでなく、自分らしく過ごす「日常」でもエビスビールを飲んでもらえるよう、今後も継続して取り組んでいくそうだ。

 「エビスビールにしかできないことはまだまだたくさんあると考えています。今はコロナ禍で思い通りにいかないこともありますが、エビスブランドとして今後も消費者に選ばれ続けるため、ひとりひとりに寄り添ったビール時間を提供できるよう尽力していきます。2023年を目処に、恵比寿ガーデンプレイスでブルワリーをオープンする予定です。そこを新しいブランド発信拠点として、エビスビールの魅力をさらに多くの人に届けていきたいです」

 

 古田島 大介(こたじま・だいすけ)

 フリーライター

 1986年生まれ。ビジネス、ライフスタイル、エンタメ、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。

 

 (フリーライター 古田島 大介)(PRESIDENT Online)

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