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「ポケモンGO」より先輩? 北海道のローカル線で“位置情報ゲーム”活用したスタンプラリー

SankeiBiz編集部
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 北海道の釧路湿原を縫って走るJR釧網(せんもう)線沿線で1日、地図上に訪問した場所を塗っていくことができるスマートフォンのゲームアプリ「テクテクライフ」を使ったデジタルスタンプラリーが始まった。「ポケモンGO(ゴー)」に似ている位置情報ゲームアプリだが、実は発案自体はポケモンGOが世に送り出される前からあったという。ゲームアプリの開発関係者は「企画から7年の歳月が流れたが、このゲームが釧網線沿線地域活性化の一助となれば」と話している。

 マニア垂涎…実物の「サボ」も景品に

 釧網線沿線のデジタルスタンプラリーで活用されているのは、歩いた場所を地図上で塗ることができる位置情報アプリゲームの「テクテクライフ」。ゲーム内でスポットとして設定された名所やレジャー施設、店舗などを訪れ、チェックインすると、スマホの画面上に周辺の歴史やおすすめ情報が表示されるようになっている。

 位置情報ゲームは2012年、米グーグル発のナイアンティックが開発した「イングレス」で人気に火が付き、2016年に「ポケモンGO」が配信されると、老若男女を問わずブームとなった。一方、テクテクライフの前身にあたる「テクテクテクテク」は2014年末に企画されていた。このゲームは2018年末に登場したものの、わずか半年でサービスが終了。2019年夏から復活を目指して開発が進められ、昨年10月にサービスが始まった。ユーザーからの要望を踏まえ、テクテクライフには観光地などを回遊できるデジタルスタンプラリーの機能を実装しているのが特徴だ。

 今年春、網走市の関係者から、デジタルスタンプラリーの機能を地域振興に活用したいと要請があり、釧網線の全線開通90年(今年9月20日)に合わせて実現した。網走駅(網走市)と東釧路駅(釧路市)間の全長166.2キロの釧網線は、春から秋にトロッコ列車が走るほか、雪景色の中、白煙を上げて力走する蒸気機関車「SL冬の湿原号」は冬の風物詩になっている観光路線。だが、JR北海道が「単独では維持することが困難な線区」に指定した赤字ローカル線でもある。

 ゲームをプロデュースしたテクテクライフ社長の田村寛人さん(53)は「長年ゲーム業界を渡り歩いてきたが、世の中に貢献できることをやりたいとずっと思っていた」と振り返る。

 スタンプラリーでは、スポット化した全25駅のうち5駅にチェックインするごとに、ゲーム内で抽選に参加でき、「くしろ湿原ノロッコ号オリジナルチョロQ」や「網走手ぬぐい 」などの景品がプレゼントされる。今月9日には、網走駅や釧路駅から川湯温泉駅、摩周駅に向かう団体貸し切り列車「テクテク釧網本線めぐり 秋」号も運行。この列車に取り付けられる「サボ」と呼ばれる実物の行先表示板やエンブレムも景品になっているという。

 沿線の魅力をつなぎ合わせることで観光の復活を目指すデジタルスタンプラリーは来年3月31日まで行われる。田村さんは「新型コロナウイルス禍で飲食店や観光スポットは苦しんだ。このゲームが釧網線沿線地域の応援につながれば」と期待している。

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