海外情勢

垂直農法がエコで再評価 温室効果ガス抑制、投資活発も高コスト課題 (1/2ページ)

 米国のパリ協定復帰を機に世界的に地球環境問題への取り組みが加速する中、超高層ビルの階層や傾斜面を利用して野菜などを栽培する「垂直農法」と呼ばれる技術が脚光を浴びている。耕作や除草、収穫、輸送で排出される温室効果ガスの排出を抑制しながら、増え続ける人口に食料を供給できる利点が改めて見直されているためだ。

 小売り店舗内で栽培

 垂直農法の実現に向けIT起業家や飲食業者、米ウォルマートなど巨大企業などが数百万ドル規模の投資を行っている。

 米調査会社ピッチブックのデータによると垂直農法の技術を手掛ける業界にベンチャーキャピタル(VC)が投じた資金は2020年1~3月期に過去最高の7億5400万ドル(約790億円)に上った。これは19年通年の金額を34%上回る。民間だけではない。食料自給率引き上げを目指しているシンガポールとアラブ首長国連邦(UAE)も強い関心を寄せている。

 UAEの盟主アブダビ首長国にある巨大ショッピングモール(SC)、ヤス・モールは20スクリーンがある映画館を擁し、世界で唯一のフェラーリの屋内テーマパーク「フェラーリ・ワールド」につながる巨大複合施設だ。

 その中心には仏小売り大手カルフールのハイパーマーケットがある。自然光や土壌はないが、この店舗では床から天井に張り渡された棚の上で栽培するハーブやマイクログリーン(栽培期間が短く栄養価の高い幼葉野菜)を買い物客に提供している。

 ほぼ全土が砂漠に覆われ、食料品の8割を輸入するUAE産の生鮮食品は珍しく、食品の輸送で生じる炭素排出量を減らす健全な方法として販売されている。

 一方で、垂直農法の商用化には、生産コストというハードルを越えなければならない。1日に人工光を12~16時間照射し、冬場には暖房が必要で、栽培に理想的な環境を作り出すには従来の農法より相当多くのエネルギーを消費するからだ。

 中東、アフリカ、アジアの各地でカルフールのフランチャイズ店を経営するマジッドアルフッタイムリテールのミゲル・ポベダノ最高業務責任者(COO)は、垂直農法にかかる費用は従来農法より2~3割高いと明かす。

 同COOによると、カルフールはアブダビで消費電力を最大65%削減できる電球の供給業者を探している。「電力を数キロワット消費するというのは大きなハンディキャップだ。重要なのは本当に手ごろな価格にする必要がある点だ」と話す。

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