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中台と組めばサムスンに勝てる? ソニー反転攻勢、中国家電と提携交渉

ニュースカテゴリ:企業の経営

中台と組めばサムスンに勝てる? ソニー反転攻勢、中国家電と提携交渉

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 ソニーがテレビ事業をめぐって、中国ハイセンス(海信集団)や台湾・友達光電(AUO)との連携を探っていることが相次いで明らかになった。背景には、世界のテレビ市場で独走態勢を築いているサムスン電子やLG電子など韓国勢の存在がある。ソニー以外にも、コスト競争力に優れた中国・台湾勢との連携を図る日本メーカーは急増しており、さまざまな分野で電機業界の韓国勢への対抗軸が形成されつつある。

 「テレビ事業の再生は喫緊の課題だ。黒字化して事業を継続していく」

 ソニーの平井一夫社長は今月12日の経営方針説明会でこう述べ、テレビ事業を2014年3月期に黒字化させるため、他社との提携もいとわない考えを強調していた。その選択肢として浮上したのが、ハイセンスとのテレビ事業の生産・販売面での提携交渉や、AUOとの有機EL(エレクトロルミネッセンス)テレビの共同開発だった。

 今回の提携交渉について、関係者は「中国国内での販路開拓もソニーの狙いだ」と語る。中国のテレビ市場は日本の3倍にも上る。しかも、シェアは首位のハイセンスを含めた中国勢が上位を独占。日本勢はおろか韓国勢も下位に甘んじており、ソニーはハイセンスの販路を活用することで大幅な販売増を図る構えだ。

 「日本の電機メーカーはわれわれと組めばサムスンに勝てる」。シャープとの戦略提携を決め、大の“サムスン嫌い”でも知られる台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘董事長は、かねてからこう主張してきた。青息吐息の日本の電機大手だが、その技術力は依然トップレベルにある。これに台湾・中国のコスト競争力を組み合わせれば、巨額投資にモノをいわせて成長してきた韓国勢にも引けをとらないという論理だ。

 電機業界では、NECが昨年7月に中国レノボグループ(聯想集団)と国内パソコン事業を統合し、半導体大手のルネサスエレクトロニクスも昨年3月の東日本大震災後に、受託生産を手がける台湾大手のTSMCへの代替生産を拡大。今後も海外への委託を増やす計画だ。

 ソニー、シャープにパナソニックを加えた家電3社の12年3月期の最終赤字の総額は、空前の1兆7000億円に上る。海外勢との提携には技術流出などのリスクも付きものだが、どん底からの反転攻勢に向けて残された選択肢は少ない。

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