パイオニアが補聴器市場参入 新たな収益の柱育成、競争激化
2013.3.22 08:15更新
デジタル家電の販売不振に苦しむパイオニアの新規参入で、補聴器市場が白熱化しそうだ。同社は21日、補聴器市場に本格参入すると発表。4月中旬に軽度難聴者向けの補聴器「イヤーパートナー」(1個で希望小売価格3万4800円)を売り出す。医療・健康機器事業は高齢化を背景に安定成長が見込めるものの、同分野を新たな収益の柱に育成する方針の同社と、既存メーカーとの競争激化は必至だ。
同社は1999年、音声を集めて再生するボイスモニタリングレシーバーを発売。11年にはテレビの音を聞こえやすくするスピーカーを投入するなど、難聴者をサポートするための技術を蓄積してきた。同社初の医療機器となるイヤーパートナーは手ごろな価格と使いやすさを重視。話し声や車のクラクション、踏み切りの警報音などの音声帯域を中心に音を増幅し、生活音を聞こえやすくする。年間2万台の販売を目指す。
高価格帯補聴器では、独シーメンスが2月、「マイコン」シリーズ(同32万~45万円)を発売。利用者の聞こえ方を自動的に学習し、好みや環境に合わせて音量などを調整するのが特徴だ。
一方、リオン(東京都国分寺市)は中価格帯製品のラインアップを強化。2月に発売した「リオネットプレシア」(同17万8000~21万8000円)は、不快なハウリング音を抑え、電話で通話しているときにも使いやすいという。
総務省が同日発表した人口推計によると、総人口に対する65歳以上の割合は今月1日現在で24.6%(概算値)。2020年には約30%に達する見込み。パイオニアの推計では、補聴器の国内市場は年間45万台前後で推移。今後も拡大が予想されることから、各社が製品ラインアップの強化を図っている。