旅に特化したSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が今秋登場する。サービス名は「TraBerry(トラベリー)」で、運営するのは昨年11月に設立されたActie(アクティ)だ。杉江直哉最高経営責任者(CEO)は「旅は経験した人だけでなく、その経験を共有した人にも良い影響を与える」と、SNSとの親和性を強調する。
--トラベリーの内容は
「過去にフェイスブックで投稿した旅行関連の写真だけを簡単操作でピックアップし、(トラベリーの)サイト上にアップできる。写真にはタグ(目印)をつけて分類することともできる。それらの写真を介して友人らとの交流を深めてもらうのが狙いだが、ゆくゆくは他人が見て、旅のプランを練る際の参考などに活用できるようにしたい。新しいメディアという意味を込め、『パーソナル旅マガジン』と呼んでいる」
--タグの内容がユニークだ
「感情や状況ごとに複数用意する。たとえば『ぼっち』と名づけたタグは、一人で旅したことを示すのに役立つ。旅とひと口にいっても、人によって目的も人数も行き先も違う。この方が写真の内容や趣旨を端的に表現しやすいし、閲覧者が旅の参考にする場合にも便利だ」
--収益モデルは
「まず集客に力を入れた後、1、2年目以降に確立したい。宿泊施設のサイトや旅行予約サイトに誘導することで一定の手数料が入るような仕組みを検討中だ」
--起業の経緯は
「いつかは起業すると決めていたが、はっきりとした起業志向があったわけではなかった。昨年夏に米シリコンバレーで起業家や投資家から話を聞く機会があり、『起業するなら今しかない』と独立を決意した。(日本に比べて)起業を目指す人が多い米国で生まれ育った影響はあるかもしれない」
--なぜ日本で会社を設立したのか
「日本発の世界的ベンチャーになりたかった。長く海外にいたこともあって愛国心は強い。日本で雇用を生み、税金も納めたい。ただ、日本は(会社設立登記などの)手続き一つとっても面倒で、スピードが命のベンチャーにとって致命的だ。トラベリーは英語版も同時に開設する。いずれ米国に本社を移すことも考えている。米国はいろんな国籍や言語、文化の人が集まっているので、世界に通用するサービスが生まれやすい」
--夢は
「『個人に世界最高の旅体験を提供する』という企業理念を実現したい。今まで以上に個人に適した旅を普及させ、新たな経済圏を生み出したい。読み通りの市場があれば、2020年に100億円規模の売上高が目指せるのではないか」(井田道人)
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【プロフィル】杉江直哉
すぎえ・なおや 国際基督教大経営卒。2005年モルガン・スタンレー証券入社。タリーズコーヒーインターナショナルなどを経て、13年11月アクティ設立。32歳。米シカゴ出身。
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【会社概要】アクティ
▽本社=東京都港区芝4-16-2 34階
▽設立=2013年11月
▽資本金=1040万円
▽従業員=2人
▽事業内容=旅に特化したSNSの運営