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首都圏震度5強 都市基盤、脆弱さ露呈…10年前の教訓生かせず

 16%耐用年数超え

 東京都内では、水道管23カ所で漏水被害も確認された。都水道局によると、水道管の損傷はなく、いずれも空気を抜くための「弁」から漏れており、8日早朝までに修復した。「この規模で一斉に漏水が起きたケースは過去になかったはず」(都担当者)といい、原因究明を進める。

 都によると、都市部では水道管の延長が長く、地下の電話線やガス管などを避けて敷設されるケースが多い。曲がった配管が増えると、今回水が漏れた空気弁を多く設ける必要もある。日常的な点検はしているが、水道管内部の不具合は発見が難しいという。

 厚生労働省によると、東京都の水道管のうち、法律で定められた耐用年数である40年を超えているのは、16・2%に上る。都によると、今回の漏水の原因も、経年劣化による不具合だった可能性がある。

 タワマンの影響大

 高層ビルやマンションではエレベーターの停止が相次ぎ、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県で、利用者の閉じ込め事案が28件起きるなど、都市部特有の課題も浮かび上がった。

 東京都立大の中林一樹名誉教授(都市防災)は「首都圏の直下地震ではあまり注目されてこなかった長周期地震動が大きく生じ、インフラへの被害が生じた可能性がある」と分析。高層ビルやマンションなどではより影響を受けやすいとして、「首都直下地震を見据え、こうした建造物を点検し直し、各家庭でも家具を固定するなどの備えをしっかりとする必要がある」と訴えている。

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