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生命保険、加入の基本 公的保障の不足分を補う
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「社会人になる」「結婚する」「子供が生まれる」-。こうしたタイミングで生命保険への加入を検討する人も多いのではないだろうか。種類が多く、保障内容も複雑に見える保険商品。万一の際の必要金額を試算したうえで、「公的保障で足りない部分を補う」という基本を踏まえ、無駄なく上手に加入したい。(竹岡伸晃)
「人生には大きなリスクとして、『生(長生きした際の老後の生活)・老(介護)・病・死』がある。いずれもある程度まとまったお金がかかるため、金銭的に備えておくのが保険」。ファイナンシャルプランナーの平野敦之さんは保険の意味について、こう解説する。ただ、備える方法には貯蓄や資産運用などもあるため、「手段の一つ」といえる。
死亡や病気などに備える生命保険。加入を検討する際はまず、「誰が困るのか」「いくら必要なのか」を考える。
例えば、死亡保障の場合。独身会社員なら「葬儀費用など死後の整理資金があれば十分」(平野さん)。
結婚すれば残された家族の生活費を心配する必要が生じる。夫婦2人ならば、共働きなのか▽妻が専業主婦なのか▽仕事に復帰しやすいのか否か-などによって必要な保障額は変わる。子供が生まれたら大学卒業までの教育費や就職・独立するまでの生活費も考える必要がある。
子供の独立後は夫婦2人の生活に戻るため、夫の死後、主に必要なのは妻の生活費だ。死亡保障とは別に、病気やけがの際の医療費を備えるもの▽子供の学費を賄うもの▽老後資金を備える貯蓄性の高いもの-などもある。
次のステップは「公的保障を知る」。遺族年金や老齢年金、健康保険などの高額療養費制度などだ。
会社員の夫が死亡し、妻と子供が残されたケースでは、子供が18歳になった後の3月まで遺族基礎年金が出る。子供2人の場合、年額122万6500円。子供の数が増えるにつれ、金額も増える。生前の収入額などに応じた遺族厚生年金も一生涯受け取れる。
子供が18歳以上になると、中高齢寡婦加算(40~65歳まで、年額58万3900円)があり、65歳以降は老齢基礎年金が給付される。「公的保障で不足する分を生命保険で賄う」(平野さん)
医療費についても、健康保険などの公的医療保険制度の整う日本では自己負担は原則3割。さらに、毎月の自己負担額に上限を設ける高額療養費制度もあり、一般的な所得の場合、1カ月に100万円の自己負担が生じても実際に支払うのは8万7430円で済む。
図で具体例を示したが、生活費や教育費、葬儀費用などの「支出」、公的保障や会社からの死亡退職金・弔慰金、妻の収入、預貯金などの「収入」をそれぞれ試算し、その差額が必要な保障額となる。
家族が増えた▽子供が独立した▽会社を辞めて起業した▽定年退職した▽家を購入した▽結婚・離婚した-など生活状況が変われば必要な保障額は変わる。平野さんは「定期的に保険内容を見直してほしい」とアドバイスしている。
ファイナンシャルプランナーの平野さんに、「夫35歳(会社員)、妻33歳(専業主婦)、子供8歳・4歳」の家庭での必要保障額を試算してもらった。
妻は、女性の平均寿命である86.41歳(87歳で試算)まで生きると仮定。住宅ローンの残額は、契約時に通常加入する団体信用生命保険の保険金で支払われるため、考慮していない。
夫の死後、末子独立までの生活費や教育費、末子独立後の妻の生活費、子供の結婚費用援助などの「支出」は1億5316万円。
一方、遺族年金や老齢基礎年金などの公的保障、死亡退職金や弔慰金などの企業保障、貯蓄、妻のパート収入などの「収入」は1億666万円。必要保障額は支出から収入を引いた4650万円。
「時間の経過とともに生活費などの必要期間は短くなるため、必要保障額も減っていく」(平野さん)