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【勿忘草】障害者のパワー

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【勿忘草】障害者のパワー

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 今月(12月)初め、ダウン症のある子供や若者でつくるダンス集団「ラブジャンクス」のライブイベントを見に行った。人生初のダンスライブ。ステージから発散されるパワーに圧倒され、気がつくと自分も体でリズムを取っていた。

 ラブジャンクスは2002年、沖縄アクターズスクールでタレント養成に携わっていた振付師の牧野アンナさんが、ダウン症の支援団体からの依頼でダンス講師を引き受けた際、ダウン症のある人々の表現力や感受性の豊かさを目の当たりにし、「さらに引き出したい」と始めた活動だ。

 現在はダンスだけではなく、歌や芝居のレッスンも行うエンターテインメント集団に成長している。大阪と東京を中心に活動を行い、スクールの登録者は1000人を超えているという。

 ライブ開催に合わせ、活動を紙面で紹介したいと思い、本番間近の練習会場を訪れた。そこにはTシャツにハーフパンツといったラフな格好に身を包んだ5~26歳のメンバーが集まっていて、音楽とインストラクターの声に合わせ軽快に体を動かしていた。

 ダウン症は昨年から、出生前診断のニュースとともに取り沙汰されるようになった。ラブジャンクスを運営しているNPO法人「トイボックス」理事の栗田拓(たく)さんは「ダウン症について、情報が少ないなか、不安に感じる人も多いだろう。ダウン症の若者の本当の姿を知ってから、生むか、生まないか判断してほしい」と話し、ライブがダウン症を知るきっかけの一つになってほしい、との強い思いを語ってくれた。

 本番では、女子チームがタータンチェックの衣装に身を包み、キュートな振り付けを披露したり、近未来を思わせるメタリックの衣装で、一糸乱れずロボットのような動きをみせる男子チームが登場するなど、バラエティー豊かなダンスを見ることができた。最後はメンバー全員がプロのダンサーとのダンス対決なども繰り広げた。

 「障害者は『助けられて生きる人』ではありません。彼らが持っているパワーは世の中を明るく、幸せにすることができる」という栗田さんの言葉を思い出した。彼らのエネルギーをチャージして、足取り軽く家路についた。(佐々木詩/SANKEI EXPRESS

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