僕の知る限り彼らのような世界中からリスペクトされるダンサーに共通しているのは、「彼ら独自のものを持っている」という点です。ダンスのインフラも整っており、習うということにおいては一定の水準を超えているといわれている日本ですが、個性を持ったダンサーを生むということはある意味別の問題になってくると思います。

　個性というものは教えることができないモノですから。「ずっと同じ先生から数式を習っている子供がある日、画期的な計算方法を編み出す」ことに置き換えると良いでしょう。それが困難であると推測できるように、ダンスの世界においても個性を突出させるということは非常に難しいことです。

　ですが少しだけ話の的を絞って「どうやったら世界に羽ばたけるダンサーに育つか？」ということで言えば、一つは型にはめ込まないことです。ストリートダンスの世界は今でもいくつもの新しい技やステップが編み出されている世界ですから。もう一つは、そういう個性を持ったダンサーに対する理解力をダンス界全体で高めることだと思います。「異端」であるはずの物が日本の「宝」になる可能性は誰も否定できないわけですし、前例もたくさんあるわけですからね。（株式会社「アノマリー」代表取締役兼ダンサー　カリスマカンタロー／ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ）

　■カリスマカンタロー　本名は神田勘太朗。長崎県出身。３４歳。世界最大級のダンスソロバトル大会「ＤＡＮＣＥ＠ＬＩＶＥ」のプロデュースをはじめ、ダンス関連の企画演出などを行う株式会社アノマリーの代表取締役兼ダンサー。ストリートダンスのワールドカップ構想を掲げ、世界進出を目指す。