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中国に人権状況の改善求める 天安門25年を前に米国で強硬論
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【ワシントン=加納宏幸】6月4日に天安門事件から25年を迎えるのを前に、米政府や議会で中国の人権侵害への批判が強まっている。下院が中国政府に対し、拘束中の民主活動家の解放や基本的人権の尊重を求める決議を圧倒的多数で採択したのに続き、5月30日には下院の人権に関する小委員会が事件の「5人の英雄」(クリス・スミス小委員長)を招いて公聴会を開き、中国政府に人権弾圧の中止を求めた。
スミス氏は公聴会で、女性の人身売買や当局者による拷問などの事例を挙げ、「中国は世界で最悪の人権侵害国だ」と非難した。
これを受け、「天安門のジャンヌダルク」と呼ばれた柴玲氏ら指導的な役割を果たした5人が出席して、口々に中国を非難した。
米国で中国の「一人っ子政策」や人工中絶の実情を訴える柴氏は「天安門で学生は経済、政治、精神の改革を求めたが、政治改革は全くなされなかった」と指摘。米国在住の中国民主活動家、楊建利氏は事件に関わった当局者を渡航禁止にするよう米国に促した。
一方、人権問題を担当するマリノフスキ米国務次官補は29日、「天安門で言論の自由を求めた多くの人々が、今でも攻撃を受けたり行方不明になったりしている」と強調。中国政府に事件の説明と、それを議論する人々に対する懲罰をやめるよう要求した。