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フィリピンで貧困層拡大、物価高騰が圧迫 14年上期は25.8%

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

フィリピンで貧困層拡大、物価高騰が圧迫 14年上期は25.8%

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台風で水があふれた道路。フィリピンは自然災害などの影響で貧困層が拡大している=2013年9月、マニラ郊外(AP)  フィリピンは貧困の解消が進んでいない。同国統計局は2014年1~6月期の貧困率が25.8%となり、前年同期の24.6%から悪化したと発表した。13年11月に同国を襲った大型台風ヨランダなどの自然災害の影響が長引いたことに加え、食料の物価上昇が低所得層の生活を圧迫していることが主な要因だ。現地経済紙ビジネス・ワールドなどが報じた。

 同国政府は、5人家族世帯が衣食住に最低限必要な生活費を月額8778ペソ(約2万3530円)と算定。これを基準に世帯収入が月額1万534ペソを下回る層を貧困と定義付けている。また、生活費のうち食費は月額6125ペソとし、月額の世帯収入がこれを下回ると深刻な貧困とみなす。14年1~6月期の深刻な貧困層は国民全体の7.6%で前年同期の7.5%から拡大した。

 同国国家経済開発庁のバリサカン長官は、14年1~6月期の国民1人当たりの平均所得は前年同期と比べて6.4%増加したと指摘。さらに、全所得者のうち下位3割の層をみると、1人当たりの平均所得は7.3%増えていると述べ、政府による所得の再配分に向けた政策が奏功しているとの見方を示した。

 その一方で、食料品の価格は前年同期と比べて6.5%値上がりし、なかでも貧困世帯の支出の2割に当たるコメの値段が11.9%上昇したことが、所得の伸びを相殺したと同長官はみている。

 貧困解消に向け、同長官はコメの自給率向上など、コメの安定供給に注力することに加え、貧困世帯に現金を支給する条件付き補助金制度を拡充するなどの対策を講じていくとの姿勢を明らかにした。(シンガポール支局)

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