ローカリゼーションマップ

「日本人は心配性だから過剰管理」 台風が外国人の日本文化理解に与えた影響

安西洋之
安西洋之

 日本人は(欧州人と比べて)心配性という傾向がある。それが管理システムのきちんとした運営に貢献している。そう理解したばかりの後だから殊に、心配性だから計画運休に至っているのではないかと推測しようとする。

 しかしながら、過去、これまでも散々と自然災害で右往左往させられながらも、およそ日本での防災の考え方が大きく変わったのは2011年の東北の震災ではないか。大規模な計画運休も、ごく最近にスタートしたシステムに過ぎない。 

 それまでは、それぞれの災害時に独自の対応システムができても、どちらかといえば、底流には「『自然の暴力』には運命を委ねるしかない」という姿勢が主だったと思う。そして自然と対峙して立ち向かうのは西洋思想であるとの対比をもってくる。

 計画運休は自然に身を委ねる姿であると言えなくもないが、日本文化の1つとして捉えるかどうか、ぼくにはまだ判断できない。

 いずれにせよ、これを直接トラブルとして体験した1人の外国人は、どうしても文化的要素の入ったものとしてアクセントを強めて解釈しようとする。

 文化理解とは1人の個人的体験に基づくものである以上でも以下でもない。多くの人がそれぞれの体験で違った文化理解を示すことは、社会にとっても意義あることだ。これは確かだ。

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
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ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。

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