日本人は(欧州人と比べて)心配性という傾向がある。それが管理システムのきちんとした運営に貢献している。そう理解したばかりの後だから殊に、心配性だから計画運休に至っているのではないかと推測しようとする。
しかしながら、過去、これまでも散々と自然災害で右往左往させられながらも、およそ日本での防災の考え方が大きく変わったのは2011年の東北の震災ではないか。大規模な計画運休も、ごく最近にスタートしたシステムに過ぎない。
それまでは、それぞれの災害時に独自の対応システムができても、どちらかといえば、底流には「『自然の暴力』には運命を委ねるしかない」という姿勢が主だったと思う。そして自然と対峙して立ち向かうのは西洋思想であるとの対比をもってくる。
計画運休は自然に身を委ねる姿であると言えなくもないが、日本文化の1つとして捉えるかどうか、ぼくにはまだ判断できない。
いずれにせよ、これを直接トラブルとして体験した1人の外国人は、どうしても文化的要素の入ったものとしてアクセントを強めて解釈しようとする。
文化理解とは1人の個人的体験に基づくものである以上でも以下でもない。多くの人がそれぞれの体験で違った文化理解を示すことは、社会にとっても意義あることだ。これは確かだ。
【ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。