CAのここだけの話

“持ってる”CAが遭遇した「空の珍事件」 多忙路線で突然の悲鳴… (1/2ページ)

南万里子
南万里子

私は「持っている」CAです

 SankeiBiz読者のみなさんだけに客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第65回は中国系航空会社勤務乗務6年目の南万里子がお送りいたします。

 皆さま、CAの業界用語で「持ってるね」とはどのような意味だと思いますか? 「持ってる人」「あなた、持ってるよね」は、「イレギュラーによく当たる人」「イレギュラー持ち」という意味なんです! 同じ数だけフライトをしているのに、不思議とイレギュラー(急病人、飛行機のメンテナンス関係のトラブルなど)に全く巻き込まれない人もいれば、出くわす経験が多い人も。

 私はといえば…後者です(苦笑) ふだんは起こらない事態によく遭遇します。今回は“イレギュラー持ち”CAならではのエピソード、「空の珍事件」をご紹介します。

ドクターコール お医者様が担当エリアに

 国内線の平日フライトは、ビジネスマンのお客様が多く「満席」が常。その日も満席でしたが、ほぼ穏やかなフライトでした。しかし、お飲み物のサービスが終わり、片付けに追われているころ…なんといきなりドクターコールが!

 「機内で体調の悪いお客様がいらっしゃいます。お客様の中に、お医者様または医療関係の方がいらっしゃいましたら速やかにお近くの客室乗務員までお知らせください」

 「え! ドラマみたいなことが起こってしまった! どうしよう…」。当時はまだ新人だったので、突然のドクターコールにびっくり! 毎日フライトしているCAですが、ドクターコール(お医者様や医療関係の方を機内アナウンスで呼びかける行為)に出くわすことは滅多にないからです。

 万が一倒れたお客様がいても、意識のある方や貧血の方などは広いお席に移動し、衣服をゆるめて休んでいただくだけで随分と回復するケースもあります。CAは万が一に備えて訓練を受けてもいるので、AED(自動体外式除細動器)も扱えますし、病人の初期手当てもできます。つまり、お医者様を呼ぶのはよっぽどのこと…。客室乗務員全員に緊張が走りました。

 私の担当エリアは、一番後方のキャビン。B777の大型機でしたので、前方の様子が全く分かりません。どうやら体調が優れないのは前方のようです。「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんでしょうか?」と聞いて回っていたところ、なんと私の担当エリアにお医者様が!

  • お客様
  • 「産婦人科なんですが、大丈夫ですか…?」
  • 「もちろんです! すぐにチーフパーサーに報告しますのでお待ちください!」

 チーフにコール(機内の電話)すると、すぐに前方に来てほしいとのこと。お医者様をお連れし、前方のギャレー(機内のキッチン)近くに進んでいくと、ぐったりしているビジネスマンがいるではありませんか!

 幸運にも、お客様の中から看護師2名にもお申し出いただき、お医者様の指示のもと、テキパキと処置していただきました。

 原因はなんと、ダイエットによる栄養不足! そんなこと? と思われるかもしれませんが、機内の気圧は低く空気も薄いので、体調を崩される方が多いのです。また患者の男性はダイエットのため、当日の朝は何も食べずに機内に搭乗されたとか。空の上は地上とは異なります。皆さまも、飛行機に乗るときはしっかり食べて元気な状態を心がけてくださいね~。

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