働き方

コロナ禍が社会変革を加速 働き方多様化など政府が成長戦略案

 新型コロナウイルスの感染拡大以前と以後で、人々の暮らしや経済活動は大きく変化した。ロボットや人工知能(AI)の活用が加速し、働き方が多様化していく流れは止まらない。政府が3日示した成長戦略案は「ポストコロナ」への適応を後押しする施策に重点を置いた。

 コロナ禍は、スマートフォンなどを使ったキャッシュレス決済の可能性を押し広げた。決済の効率化や訪日客の取り込みといった従来の目的に加え、現金に触れないことで感染リスクを減らす効果にも期待が高まっている。政府は消費税増税対策を兼ねたポイント還元制度を6月末で終えた後も、引き続き普及を支援していく方針だ。

 成長戦略には、決済事業者に加盟店が支払う手数料の引き下げを促す方針を盛り込んだ。さらに、決済事業者が加盟店に売上金を振り込む際の手数料負担が重く「普及の障害になっている」と指摘。銀行振り込みの利用回数にかかわらず手数料を定額とする仕組みの導入を打ち出した。

 省人化で感染防止

 感染を防ぐため、人の接触機会を減らせる省人化の必要性が高まっている。米国では飲食店による料理の宅配で自動配送ロボットの活用が進む。日本の現行法制度では、遠隔操作で動くロボットの公道走行が認められていない。公道での実証試験を「年内で可能な限り早期に実現」する方針を掲げた。

 自動車の完成検査では、検査員に代わりAIの活用を検討する。目視に頼っているエレベーターのロープ検査にセンサーを、建物の外壁調査には小型無人機ドローンを使えるよう規制を見直すことも検討。いずれも2020年度中に実証試験を実施する。

 企業では在宅勤務が広がった。通勤を省いて自由に使える時間が増えるなど、兼業や副業という働き方の選択もより身近になりつつある。政府は、労働者の側が本業の勤務先に労働時間を自己申告する新たな仕組みを検討し、企業の労務管理の負担を軽減する。今秋をめどに具体的なルールを整備する方針だ。フリーランスについても、企業からの一方的な仕事のキャンセルや報酬の減額を防ぐため、ガイドラインを整備する。

 工場の国内回帰

 サプライチェーン(供給網)の課題も浮かび上がった。国際的な人の往来や物流が制限されたことで工場停止が相次ぎ、輸入に頼るマスクの不足も深刻化した。日本は加工品や部品の中国への依存度が高く、今回のような不測の事態で調達が滞るリスクが大きい。工場の国内回帰を促すなど生産体制の多角化に向けた投資を支援する。

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