働き方

コロナ禍で雇用悪化、酷暑の仕事探しに悲鳴「心も体も疲れた」

 新型コロナウイルスの感染拡大で7月の雇用情勢は悪化した。解雇や雇い止めも5万人を超え、企業の求人が回復しない中、仕事探しがままならない失業者からは悲鳴が上がった。安倍晋三首相の退陣後の新政権が効果的な対策を打ち出せるか見通せず、専門家は家計への長期的な影響を懸念する。

 焦り…生活保護も

 東京都内のハローワークは、酷暑の8月下旬も失業手当の申請や就職相談で混み合った。「心も体も疲れた」とつぶやくのは、千代田区のハローワークを訪れた無職女性(48)。パートで働いていた飲食店は4月から営業自粛し、女性に自宅待機を命じたまま連絡不通に。休業手当が支払われたのは4月分のみ。7月から仕事探しを本格化させたが求人は少なく面接にもこぎ着けられない。家族を養うため「9月中に見つからなかったら生活保護の受給も考えなければ」と焦りが募る。

 「派遣先が見つからず、もう3カ月過ぎた」とため息をつくのは、大田区のハローワークに来た派遣社員の男性(56)。航空会社のシステム開発部門で約2年働いたが、新型コロナの影響で仕事が凍結され5月末で派遣終了。「別の派遣先を探したが、若い人が優先的に決まる。9月には何とかしたい」と切実だ。

 雇用を維持し続ける経営者も疲労の色が濃い。「秋までの辛抱と思っていたが甘かった」。宮城県内のバス会社社長(64)は肩を落とす。春に仕事を全て失ったが、感染者が減った6月に遠足など問い合わせが入るようになった。しかし、感染再拡大で無期延期かキャンセルになった。

 首相は8月の辞任会見で、企業が従業員に支払った賃金の一部を国が補う助成金の特例を12月末まで延長すると発表した。社長は「年末に助成金が切れたら運転手を抱えきれない。いったん解雇することも避けられなくなる」と打ち明けた。

 所得減にも目配りを

 雇用情勢は厳しさを増している。有効求人倍率は7カ月連続で下落、完全失業率は5カ月で0.5ポイントも悪化した。首相退陣後も最大の課題は「当面は新型コロナ対策」(菅義偉官房長官)だが、新政権がすぐに雇用を改善させる妙手を打ち出せるか未知数だ。

 大和総研の田村統久研究員は「企業も働き手も、事態の長期化に耐えられなくなっている」と分析。「給料やシフトを減らされた非正規労働者が諦めて違う仕事を探したり、失業しても職探しを控えていた人が就職活動を再開したりしている」とし、今後も失業率の悪化は続くとみる。

 経済活動の回復に時間がかかれば求人も増えない。「今後、所得の減少にも目配りが必要だ。さらに長期戦になる可能性があると考え、家計を下支えする対策も検討すべきだ」と指摘した。

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