働き方

ウーバー英では従業員 運転手7万人の扱い変更、最低賃金など付与

 配車サービスの米ウーバー・テクノロジーズは16日、英国の運転手7万人全員の扱いを従業員に変更し、最低賃金や有給休暇などの権利を付与する方針を明らかにした。先月の英最高裁判所の判断を受けた措置に当たる。英最高裁は、ウーバーの運転手を同社従業員と認め、最低賃金のほか各種権利を有するとの判決を下していた。

 有給・年金の対象に

 これでウーバーの運転手が受け取る時給は17日から、英政府が全国生活賃金とする8.72ポンド(約1320円)以上となる。同社はこの水準を「賃金の上限ではなく、下限」としている。

 最低賃金の適用は、アプリで配達の注文を受けてからとなる。運転手には収入の12.07%に基づく有給休暇が2週間ごとに付与される。また、自動的に年金制度に登録され、ウーバーからは運転手の収入の3%相当分が拠出される。2018年以降適用されている病気やけが、育児休暇をカバーする保険制度に加わる格好となる。

 ウーバーにとって、追加で生じる費用の大半を占めるのは、最低賃金よりも有給休暇と年金拠出金だ。同社によれば、平均すると運転手はかねてロンドン市内で1時間当たり17ポンド、国内の他の地域では同14ポンドを稼いでいるという。

 英国はウーバーがこのビジネスモデルを適用する世界初の国となる。昨年10~12月期の英配車サービス業は全世界の約6.4%だった。変更に伴う費用をウーバーは明らかにしていないが、四半期や通期の利益見通しの変更は見込んでいないとした。同社の株価は16日の米株式市場で2.2%安で終了後、時間外取引でさらに下げた。

 事業モデル混乱も

 ウーバーは運転手の地位について、従業員ではなく個人事業主だと主張していたが、英最高裁判事は先月、全会一致で同社の主張を退けた。厳しい判決が出たことで、同社は各種権利を拡大する以外の選択肢がなくなった。

 今回の訴訟で運転手側を支援した労働組合の一つ、全国都市一般労組(GMB)のミック・リックス氏は、ウーバーが法廷闘争の末、判決に従うことになったと述べ、「他のギグエコノミー企業は気づくべきだ。これが偽りの自営業の限界だ」と強調した。

 変更はウーバーにとって欧州最大の市場である英国に限定されるが、他の国・地域への適用を経営陣が検討する用意があるかどうか疑問を投げ掛けるものだ。ウーバーは本拠を置く米カリフォルニア州でも運転手の扱いをめぐって法的問題を抱えているほか、ギグワーカーの労働条件改善を求める欧州当局の圧力にも直面している。

 一方、今回の変更は一部のITビジネスモデルに大混乱をもたらす可能性がある。英法律事務所ゴードンズの雇用問題専門弁護士、メアリー・ウォーカー氏は「今回の判決の波紋が遠くまで広がり、ギグエコノミー構造の核心に迫る。無駄のない低コストモデルが最低賃金を支払い休暇を認める必要性にむしばまれることになる。企業の中には、固定費を中心とした費用増加で取引が続けられなくなるところが出てくる」と指摘した。同氏はウーバーの今回の訴訟には関わっていない。(ブルームバーグ Ellen Milligan)

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